マリッジブルー


新開と私はどんな関係かと聞かれればこうだろう"同期で同アパート"。
だからって想像するような事は何もない。私は1年以上付き合っている彼氏もいるし、新開だって時々彼女がいた。お互いそれなりに飲んだりするけどやましいこともない。ただ意外と気が合うのだこの男と。"新開"と同期の女性の中では呼び捨てで呼ぶのも私だけだ。

今日の同期の飲み会のメイン話は新開の結婚話だ。祝われる新開を横目にビール片手に他の同期と世間話をする。

...皆そいつ、あれだよでき婚だよ。そして彼女に押し切られた形だという事を知っているのは私を含めてほんの僅かだろう。皆楽しそうに話しかけるのをつい少し冷めた目で見てしまう。
まぁでき婚だって上手くいくなら良いと思うけど、私はそこの順番は間違ってはいけないと思うよ。まぁ新開らしいっちゃらしいけど。



同期の飲み会もお開きとなり、どうしても一緒になってしまう帰り道を新開と歩く。酔っているのかどうか分からない新開だ。
「結構飲んでたけど大丈夫?コンビニ寄ってソルマッ○でも飲む?」
「いや、問題ない。飲んだふりもしていたからな、まだまだ余裕だ」
なら良かった。そういうところ上手くかわすよね。




アパートに着き、部屋に入ろうと鍵を出す。すると新開が話しかけてきた。
「もう少し呑もうぜ」
「え、宅飲み?良い歳して?」
思わず笑う。
「ダメか?」
「良いよ、付き合ってあげる」
冷蔵庫の中を思い出す、ビールはあったか。あとなんか炒めればつまみになるだろう。

新開を部屋に入れる。まぁ、同じ1LDKの間取りだし説明なくても不便ないだろう。新開がスーツの上を脱ぐのでついそれを受け取りハンガーにかけてあげる。ネクタイを取りながらソファに座る新開。
「...おめさんの匂いがする」
「...そりゃ私の部屋だからね」

私もジャケットを脱いでサッとハンガーにかけてキッチンに立つ。なぜか誘われた方がお酒だして、つまみを作る。良いけどさぁ、あとで請求だよコレ。

「はい、お酒。全部飲まないでよ?今つまみ作るから」
「おお、さすが気が利くな」
「ハイハイ、調子良すぎ」
適当に新開をあしらい。冷蔵庫の中にあったトマトとベーコンとしめじ炒めたり、竹輪にキュウリ詰めてみたり、チーズとかを並べる。
「うまそうだな」
「簡単なもんだし、味見なしの適当だから知らないよ」
新開が箸を延ばして、トマトベーコンが口に運ばれる。
「すげえ美味い」
「それは良かったです」

私もコップにビールをついで、新開と乾杯をする。
「はい、結婚おめでと〜」
良い笑顔でグラスを合わせる。
「嫌味かそれは」
「フフ、それは捉え方ひねくれてるよ」
少し眉を下げる新開だ。そんな新開だからこそちょっと弄ってみたいのだ。

テレビをBGM替わりにしながら、同期の話やら会社の話をする。もう日付けも変わっている、まぁいいか明日休みだし。そして話題はどうしても結婚の話になる。
「挨拶行った?」
「あぁ、あれは緊張するなやっぱり」
「新開でも緊張するんだ?」
「まぁ多少はな、みょうじはまだか?」
「さぁそのうちかな」
「結婚ってもんは金かかるな、結婚式もやりたいとか言うけどよく分からねぇ」
「フフ、そんなこと言わずに興味もちなって」
「そりゃこうなるつもりなかったしな、興味なんてもてないだろ?」
実にさっぱりとした顔で言い放つ新開、最低だこいつ。私の彼氏がこんなんでなくて良かった。
「うわ、最低だ」
「いやぁ、聞けって...」

そこからは新開の婚約者への愚痴になった。簡単に言うと2才年上彼女は色々と言うことが支離滅裂、料理は美味しくない、話は聞かない等、あと安全日だからと言われだしたそうだ...あー、最後はアレだね、向こうの計算ですね。

「いやでも最後は新開が悪いでしょ」
「しょうがないだろ、やっぱり生が気持ちいいし、外出そうとしたら足でホールドされたんだ。それよりも次だ、母子手帳とかを見せてと言っても絶対見せてこないっていうのはどう思う?」
外したネクタイを弄りながら項垂れる新開。つーか、それって妊娠は嘘じゃないか?そうとすると酷い気がする。
「...あー...まぁ気の毒に」
「そういう所でもう駄目なんだ」
まぁ新開が愚痴りたくなる気持ちが分かった気がする。




「......そうだな、結婚するならおめさんが理想だな」
「...それはどうも」
ビール片手にポツリと言葉をこぼす新開にお礼をいう。
「料理は美味いし、まぁ美人だし、気が利くし、気さくだし、話は聞いてくれる、あいつより大人だし充分すぎるな...」
そりゃ、他人に向かっては誰しも優しいよ。そして他人のものほど良いように写るのだ。分かってるんだかこいつは。
「私だって付き合っている人にはもっと適当だよ」
「んな事ないだろ」
目が座ってきている新開だ。悪酔いしてないと良いのだが。
「私も話聞かないし、きっとワガママだよ」
まぁ、口では言うけどそこまでではないはずだ。男性との付き合いで基本的には振られないしなぁ。アレコレと上手く立ち回る方だ。
「...そうか?まぁいいやみょうじなら許せるな」
「フフ、適当ー」
「おめさんも似た感じだろ?」
「いや、孕ませられないですって」
「それを言うなって」

ソファがギッと鳴り、新開が腰を浮かせて50cmくらいあった距離が一気につめられる。

「...みょうじ、結婚祝ってくれないか?」
この含みのある目線で言われれば、意味合いが伝わる。しかしその目線に知らないフリをする。
「...はい、チーズ」
手に持っていたチーズを新開の口に咥えさせる。
「他のもんが良いんだ」
口をモグモグしながら新開がソファの背もたれに腕をかけてこちらを勝ち気なタレ目で見つめてくる。
本当にこいつは、婚約者がいるっつーのに何考えているのだか。

「...私、浮気する気さらさらなーいの。その上婚約者がいる相手なんかなおさら御免だよね」
正直な気持ちを軽い感じで伝える私。そしてやたら顔の近い新開のおでこをデコピンする。少し顔をしかめる新開。

「そーいうの求めるなら、他を当たってよ」
さっきの飲み会にだって、婚約者いるっていうのにやたら色目使う同期だっていたじゃないか。なぜ私なんだ。

しまったな、変な雰囲気になってきてしまった。
「みょうじが彼氏さんの事を大切にしてるっていうのは嫌っていうほど分かってる、...ただそんなおめさんが良いんだ」
「それはどうも、....で次は何言ってくれるの?」
「面白がっているなおめさん」
「まぁね、まさか新開に口説かれる日がくるとは思わなかったからね」

見つめてきながらゆっくりと口を開く新開。
「...ずっとみょうじの彼氏さんが羨ましいと思ってた、ずっと俺を選んで欲しかった。ずっと好きだった」
私の手をとり、手の甲にキスを落としてくる新開。...どうでも良いけど様になりすぎだこの人は。
「...ハイハイ」
笑って口では流すけど、どストレートな言葉は胸にくるものがある。

...そしてなんでそんなに切なそうに言うのだろうか。

「だから最後の最後まで足掻くことにしたんだ」
そう言いつつ私の横に手をつき逃げられないようにしながら厚い唇でキスをしてきた新開。

あーぁ、ばかな私。夜に男を部屋に入れるとか侮りすぎだったな。呑気に頭の隅でそんな事を考える。
まぁ、これが大人の付き合いというものか。

いいや、私は嘘が上手いから彼氏にはバレやしないだろう。私から誘ってないし酔っている上だし、気持ちはないしセーフだろう。手慣れた新開だろうし少しの興味はある。
明らかにアウトなのに、脳内で自分への言い訳をたてて、この遊びを興じようしている私。あーぁそんな人間じゃないんだけどなぁ。

「...これ浮気じゃない?婚約破棄されちゃうよ?」
呆れながら新開に話しかける。
「ハハッそれなら寧ろ好都合。俺にとってはみょうじが大本命だからな、浮気じゃないな」
サラリと甘い言葉を吐く新開。
「本当この口は甘いですねー」
会話をしながら何度もキスをする私達。
「あぁ、おめさんこそ浮気じゃないのか?」
「本当?それはダメだね。辞めてくれない?」
ついばむようなキスから、徐々に深くなっていく。顔に手を添えられて口を開き、お互いの舌を絡める、舌先から新開のアルコールが伝わってきてさらに酔いがまわっていく、悪酔いしそうだ。
「ん...しんか、い飲み過ぎ」
「おめさんこそな」
簡単に纏めてあった髪がほどかれて、窮屈だった髪が背中に広がる。新開が頭を撫でるように抱き締めてきてから、服を脱がし合いを始める。

「身体熱いな」
カットソーの中に手を入れて脇腹をなぞる新開。私も新開のワイシャツのボタンに手をかけて外していく。
「そりゃ...酔ってるからね」
お酒に、この空間に、そして新開に。
再度言おう私は彼氏が一番だ。...ただまぁ良いじゃない、少しくらい。


私の上半身はカットソーを脱がされキャミソールとブラというなんとも心もとない格好だ。新開も私がワイシャツのボタンを開けたので、たくましい胸元と割れた腹筋が眩しい。
それに惹きつけられるように胸元に口づけをする。
「...痕つけてあげようか?」
上目遣いで新開に問いかける。
いい大人なのでムードの盛り上げ方も手慣れてしまった。
「それいいな、バレやすい」
「普通逆じゃない?」
そう言いながらキツめに歯をたてて吸う。あぁ、赤くなったがさらに新開が色っぽくなった。さらにみてみたくなって何度も痕をつける。そんなに嫌な相手なら本当バレてしまえば良いのに。

「おめさん痕残ってんな」
新開が私の胸元や肩にある数日前付けられた痕を指で撫でてくる。触れられたそこから熱くなりそうだ。
「いや?」
「なわけないだろ、余計燃える」
痕の上からさらに濃い鬱血を肌に滲ませてくれる。つか痛っ、あーぁこれじゃ当分彼氏に会えないじゃないか。
ブラのホックを外され指をかけて肩からキャミソールごとズリ落とすように脱がしてくる新開。私も新開の胸に手を這わす。
でも、ちょっと恥ずかしいな。なんだかんだで単なる同期だ。
「...暗くしない?」
「恥ずかしいのか?」
「さすがに少し」
サッと立って、足元にあった小さいオレンジ色の間接照明だけにしてくれた。
「やっさしー、さすが色男」
「だろう?おめさんにだけ特別だ」
バキュンと指でうってくる新開に思わず笑う。こいつも大概遊び方を知っている。


「おめさんが脱いでるの見たいんだ」
そんなご要望に応じてソファに座る新開の前に立って服を脱ぎ出す。ブラを抜き床に落として、キャミソールだけ。舐め回すような視線を感じながら、スーツのパンツもベルトを外して緩くすれば、床にストンと落ちる。
「新開も脱いでよ」
ワイシャツを脱ぐ新開。...ゴメン正直エロ過ぎこいつ、誘いに乗ったはいいけど身が持たないかもしれない。ソファに座るボクサーパンツだけの新開の太ももに跨がる。
「みょうじ乳首立ってるぞ、キャミソールの上からでもわかるな」
「っ、新開もここもう硬いけどね、若いね」
自分の股にある新開の膨らんだ股間を上からなぞる。ピクッとして少し気持ちよそさそうだ。
胸をキャミソールの上から手で揉みながら乳首を口に含む新開。
「んっ...」
「みょうじの好きなとこどこだ?」
「ぇー、それを探るのも楽しみってもんじゃない?」
「それもそうだな」
身体中を探るように撫でる手に魅了される。気持ちいいなこれ、一晩だけと思うと下手な気遣いなくて楽かもしれない。私も新開の身体に手を伸ばして手を這わせる。厚い胸板がとても心地良いので胸をよせて、首に手をまわして首にキスを落とす。
「...おめさん男相手にするの上手いな、色々と」
「え、酷い。こんな事するの初めてなのに」
「あぁ、俺もこういうのは初めてだ。みょうじが想像するような重複期間はないぞ」
本当の事なんか知らないけど、どちらにしろ私達が堕ちていることには変わりないな。

こうやって人はダメになってしまうのだろうか。いや、私がもとからこういう事が出来る人間だったのか。流されてこんなことになってしまっているが、本当にこんな大人の付き合いなんて初めてなのだ。
だけれども、今日くらいは悪くないなと思い始めている自分自身に驚く。

今は新開のご立派な息子を、口で奉仕している最中だ。ソファに座った新開に跪く様にしながら愛撫する。
「気持ち...いい?」
「...あぁ」
丁寧に舐め上げ、手で扱きながら口で咥える。そんな私の頭を撫でてくる、そんな事しなくてももっと舐めてあげるのに。
水音をたててあげながら吸ったり、舌先で刺激したりする。
「っやら、しいなみょうじ...すげぇ良い、夢みたいだ」
「んっ...」
男性の快感で歪む顔が好きだ。いつもは平然としている顔が私によって一気に色気を纏う欲望を放つので、この行為は嫌いじゃない。まぁこの人の場合は所構わず色気放っているけど。

「俺も舐めていいか?」
「ん?しなくて良いよ、手でいいよ?」
美味しくなんかないし、新開もこーいう時くらい適当にすれば良いのに。
「いや、おめさんだから舐めたいんだ」
そう言いソファに私を押し倒す新開。ショーツを脱がされ、もう熱くなってしまっている秘部を凝視される。
「っし、新開!」
「恥ずかしがるみょうじも可愛いな。にしてもおめさん綺麗な身体してるな。濡れたここも良いな」
そりゃ、この浮気者同士の行為だけれども、私にだってそれでも恥ずかしさはある。
秘部に一本、二本と指を入れられ、抜き差しされる。擦られる内壁が物足りないが気持ちがいい。
「んっ...ぁ、」
「熱いなおめさん中、美味いか?」
「っ、おいし、い」
素直に答える私。すると新開優しく笑いながらキスをしてくる。瞼に口に太ももの内側に。この行為が始まってから事あるごとにやたらキスをしてくる新開に戸惑いが生まれる。

この人本当に私のこと好きなんじゃないのか?

.......そう、錯覚させるっていうならいい演出なのかもしれないな。雰囲気に飲まれていてもどこか冷静な私がいる。
昔からセックスの上での言葉は基本信じるつもりは毛頭ない。

指を入れられながら、入り口上の敏感な突起を口で刺激してくる。舐め回すようにしながら、さらに突起を主張させる。それを吸い上げるように愛撫してくる。もう、それ弱いんだよね。
「ぁ、んっ!はぁ、っン」
「ここ好きなのか」
息がかかりそれすら感じる。そんな私を新開が笑った気がした。もう充分すぎる刺激に次の物を求める。
「っん、中入れて良いよ」
すると何を思ったか舌を入れてきた、ヌルッとした感覚が襲ってくる。予想外で思わず声をあげる。
「あっ!ン、ちがっ」
「これも好きそうだけどな」
「〜っ新開の!」

愛撫をやめ、少し何か考えるような新開に気付いて話しかける。
「フフ、今日はどーするの?」
「危険日なのか?」
「...どっちだと思う?賭けてみなよ新開が」
「っ」
教えない私に少し面食らう新開。さてどうするのかなっと思っていたら足を開かされて生で入れてきた。っ本当良い度胸してるわこの人。
はぁ、やってしまった同期と...。こんな事して私も新開もどういうつもりなのだろうか。自身でも読めないのに新開の事なんか分かるわけがない。

...そしてゴメン彼氏よ、新開のすごく気持ちいいんだ。良いところを突かれて高めの声が吐き出させられる。ヤバイかもこれ、ピタッと足りなかったものが全て満たされていく感じ。そう何というのか
「相性すごく良くないか?俺たち、気持ちよ過ぎてイっちまいそうっ...」
新開もそう思ったのか。
「っぁ、ん、良い、かもね、凄く気持ちいいっ」
動きを止めてキスをしてくる新開。
「...でもっ、ゴムつけないで、最低」
新開の長めの前髪を掻き分ける様に撫でながら新開を叱る。瞬間中の物が反応した気がした。
「本命相手にそう煽られたら、こうなるだろ」
「どこまで本気なんだか...」
「...初めから本気に決まっているだろ。俺はみょうじを気持ち良くしようと必死なんだ」
そう言い何度も何度も身体中にキスをされる。
「ん、ぁ新開」
「なぁ今更だけど、名前で呼んでくれないか?なまえ」
え...新開の名前なんだっけ。ハハッ、名前も知らない男とセックスしてるのか私。こんなはしたない人間になったつもりはないのになぁ。
熱に浮かされたぼーっとした頭で必死に名前を思い出す。だって基本苗字ばかりだもん、しょうがないじゃない。
「...はやと...?」
「...おめさん最低、俺ばっかりだな本当に」
最低なのは新開隼人もそうだからお互い様だ。許しを請うように私からキスをする。
多少はイラっとしたのか激しく何度も私を突き上げる。その熱の篭ったキツイ視線が堪らなく私を興奮させる。
「ぁっはぁ、んっやぁっ、はやとぉっ」
「なまえっ、好きだっ...」
イっている頭だが当然その言葉には答えない。気持ちはないし、虚しいだけだ。
そんな思いを知ってか知らずか入り口付近の突起を指で刺激しながらピストン運動をしてくる。
「…んっ、あ!そこ、だめぇっ、あっ」
だから弱いんだってそこ!ゾクゾクと痺れる快感と、身体の中心に何度も打ち付ける快楽に身を任せていたらイきそうになってくる。

そんな中、当初の言葉を思い出す私。
「はぁ...、はや、とっ、結婚おめでとっぉっ、...気持ち、いいっ」
「ん、あぁ...すげぇ嬉しいよ、最高だ」
あぁなんて世界で一番最低な結婚祝いなんだろう。裸で股を開いて欲望だらけのものを悦んで受け入れて、腰を振られて、律動に合わせて吐き出す祝いの言葉。こんなに乱れた世界に誰がしたのだろうか。

あーもう、いっそ婚約解消しちゃえばいい。この人だったらもっと良い人居るはずだ。本当にバレてしまえ、隼人の背中に快楽に耐える様に爪を立てる。
「っ」
一瞬顔を歪めた隼人が私を見てやらしく笑う。あぁ私の顔もひどくやらしいのだろうな。

太い腕で優しく抱き締めるようにしてくる隼人の熱いものを何度も求めるかのように締め上げる。
「ぁ、ゃっ、はぁ...」
「っなまえ、なまえっ...ほんっとうに...好きなんだ、愛してる...」
切羽詰まるような掠れる隼人の声が耳に届く。少し泣きそうな歪めた顔にキスされる。そして囁かれる愛の言葉が余計に身体を熱くさせる。顔に降ってきた水滴には気付かないフリをする。
「んっ、も、はやと、だめっイっちゃ...んっ!ぁ!」
「っなまえ、...好きだっ..」
中に出された欲望を、まるで子宮がそれを欲しがるように収縮する。一緒にイってしまったからなぁ。あーあ、この状況でよく中に出すわこの人、いい性格してる。
賭けは新開隼人の勝ちだ。

「っおめさんの中すげぇヒクヒクしてんな。搾り取ってくれて嬉しいよ」
「バカでしょ...隼人、中出して」
「いやぁ、なまえとなら絶対中だ、おめさんなら喜んで責任とりたいからな」
繋がりながら抱き合い、何度もキスをして会話する私達。ハハッまるで本当に愛し合っているようだ。
「っん、よく言う」
「すげぇ良かった...今までで一番」
そう言いながら私の髪を撫でる。
「っ...知らない」


「...おめさん、形だけでも好きだと言ってくれないのか?俺こんなに好きなのになぁ...」
見つめながら私の指を舐めてくる隼人。それもまた切なそうに言うからドキッとする。
「...バレてたんだ?...まぁ、言わせてみたいならもっと口説いてよ」



「...なぁなまえ、2回目イケるよな?」
ムクムクと質量を増す隼人を感じる。
「っ!余裕」
この際、堕ちるとこまで堕ちてあげるよ。












朝、カーテンの隙間からの光で浅くなった眠り。それによって隼人の腕の中で起きる私。...本当ヤってしまったな色々と...起き抜けの頭で昨日の、いや今日の事を整理する。

今何時だ?今もう9時半か...
ここは私の寝室で隼人とベットで裸同士で抱き合うように寝ている。
...アレから、えーと...2回目ゴムつけた隼人にアホみたいに長い時間腰振られて鳴かされた。そして生まれて初めて遅漏野郎!と叫びたくなった。その時この人運動しているのをやっと思い出してゾッとした。散々私を好き勝手に愉しんで、最後だけゴム外して中出すとか本気で死ねば良いと思った。
シャワー浴びて寝ようとしたらまさかの3回目。盛り上がってたとはいえ20台半ばで3回ってありえない。セックスして意識とばしそうになるのなんか初めてに近い。果てると同時に気を失うかの様に眠った。そしてなぜか髪を撫でて甘やかす隼人にやはり戸惑った。
たくさん鳴されて、好きと言えと言われて、何度も何度も好きやら愛してると言い合いながら大量の欲望を飲み込んだ...言葉だけでもあんなに言い合うと本気で好きな気がしてきて何かが揺らめくようで凄く怖かった。そりゃ言霊っていうもんもあるよね。


私を抱き締める隼人の顔を眺める。気持ち良さそうに寝やがって...寝ているってのに色気ただ漏れだ。
こんな事しておいてアレだけど、この人の事そんなに嫌いになれない、寧ろ好きな部類に入ってしまう。
...あの必死さ、この人本当に......思わず頭を振る、いやそんなはずはない。ただ寝ている隼人の前髪を撫でる。


私が起きたことにより、眠りが浅くなったのか隼人も目を覚ましたらしい。
「...おはよ隼人」
「ん、あぁなまえはよう。...すっぴんのおめさんも幼くて可愛いな、...本当愛してる」
そう言いながらぎゅうっと足を絡めながら私を抱き締めてくる、あの...色々当たるんだけど。というか、この人はシラフで何言ってるんだ?顔に熱が集中する。

厚い胸板から顔を上げて隼人の顔を見ながら咎める。
「...腰痛いんだけど」
「結構したからな、なまえとと思うと我慢出来なかったんだ」
少し申し訳なさそうにしながら控えめに腰を撫でてくれる。のでつい許しそうになる駄目な私。

「もう...ぁ、今9時半すぎなんだけど、何か作ろうか?」
「おぉ、嬉しいなそれ。...すげぇ幸せだ」
パァッという効果音がつきそうなほど嬉しそうに言うのでこちらも腕を奮いたくなる。
「何にしようかなぁ、ごめんねある物になるけど」
「なぁどうせならなまえ俺のシャツ着て作ってくれないか?」
「...はいはい、変態さん」
アホなオーダーを追加してくる人だ。布団で隠しながら身体を起こすと中から3回目に飲み込んだ白い液体出てきそうな感覚。それに少し興奮したのは秘密だ。

そんな時携帯が震える、...隼人のだ。おそらく婚約者からの電話であろう。先ほどまで抱き締めてあった手で携帯を手に取りそれを無表情で見つめる隼人をみて思わず笑ってしまう。出なよ全く。
そして長めの前髪をかきあげる隼人。
「隼人?出ないの?」
控えめに笑いながら寝ている隼人の首に手を回して、フニュっと厚い胸板に胸を押し当てながらキスをする。一晩で完璧に悪女が染み付いた私だ。
「...そうだな、食ってから考えるか。腹ペコなんだ」
妖しく笑いながらそう言い、朝からベットの上を泳ぐことになった。それから何回も震える携帯に興奮するように。



あーもう、最低だ。どうにでもなればいいよ。もう上を見て笑う事しかできないのだ。