おはよう


朝もぞもぞと目を覚ます、そう新開君の腕の中で。本日土曜でお休みだ、ウトウトと二度寝をしようとしていると新開君ももぞもぞと動く。
例によって新開君はパン一だ、もう少しで秋だし服を着せないとな…なんて何かの心配をする私。

その行為の後、倒れる様に眠りについたのだ。その割にはスッキリしている私。ちょっとは安心したというか、もう吹っ切ったというか…新開君の顔を眺めながらそんな事を思っていたら目を開ける新開君。

「…おはよう」
「ああ、なまえさん好きだ〜…」

私にスリスリしてくる新開君に大人しくしている私。

「新開君服着ないともうそろそろ風邪引くよ?」
「おめさんを素肌で感じていたいんだ」

良い笑顔でアホな事をサラッと言う新開君。

「っ、風邪ひいたら出来ないよ?」
「なら着るか」

バッと起き上がってTシャツとハーフパンツを着た新開君が再度私を抱きしめにくる。

「今日何しよっか」

天気も良し、出掛けるのに最適であろう。

「対面座位か駅弁だな」

新開君をつねる私は決して悪くない筈だ。

「悪かった、バックにしよう。おめさん好きなんじゃないか?」
「…」
「…意外となまえさんネタ分かるんだな」

無言のまま更に強めにつねった私。っ、思わぬ所で落とし穴だ。そりゃ初めてだろうが耳年増なので色々知ってたりする。

「新開君には負けますから」
「そうか?おめさんも意外とえっちじゃないか」

そう言い新開君がキスをしてくる。そして口を割って長い舌を絡めてくる。口内をやらしく這いずり回る新開君を舌で止めようとするが、絡め取られた。

「んっ、」
「ほらな、えっちな顔しちまって。朝から誘ってるのか?」
「ぁ…はぁ…どっちがよ」

勝ち気な表情の新開君を咎めながら、遅い朝食を作りに行こうと立とうとする。

「っ!」
「ああ、おめさん立てないだろ?」

しかし、腰にズシリと痛みが襲ってくる。そして、まぁ寝てろって新開君が私を横にしてくる。

「昨日…いや今日か?よがってただろ?そのせいだろうな。俺なまえさんの初めてにテンション上がってさ最後の方結構…うん、やっちまったしな…そのすげぇきつくて」
「う、」

私の腰を撫でながら言ってくる新開君に恥ずかしくて思わず顔を背ける。…結構って何よ結構って…突っ込みたいが怖くて言葉に出せない。

「だから今日はゆっくりしようぜ?朝も俺が用意してやるな」

穏やかな顔で言われるその言葉を聞いて頷いた私だった。…って新開君が朝ご飯?用意?私の疑問が頭を占める中、スタスタとキッチンに行く新開君。そして、パパッとサラダにフレンチトーストが作られて、それとインスタントのスープが並ぶテーブル。

「…新開君、料理出来るの黙ってたのね」
「いやぁ、でもなまえさんの料理には敵わないぞ?」

しれっと言いながらテーブルの上からはいい匂いを漂わせる。

「食べさせてやろうか?」
「結構です」

テーブルを囲んで、意外と美味しそうで少しイラっとする中、朝食を食べる。…うん、美味しい。口に広がるどこか甘いフレンチトースト、最初の時の料理は本当どうしたのか。

「美味しい、です」
「おお!なら良かった」

新開君のお皿からも多めのフレンチトーストが消えていった。

トイレやら歯磨きも済ませる、また化粧やら休日だけど、癖…というか当たり前になっているのでもちろん行うのだ。

「…おめさんあんまり化粧濃くないよな?」
「ぇ…なに?ブサイクってこと?」

化粧直後に言われたらさすがに少し傷つくんだけど。

「いや、すっぴんが可愛いってことさ」

そう言い私の腰に巻きついてくる手。

「…よし、ポイントアップ」
「おお!溜まったら何になるんだ?」
「私の中の新開君の評価が上がります」
「悪くはないが、他も欲しいぜ」

フッと笑う新開君に何がとは聞かない。なんしろろくなことはないからだ。そのままスルーした私だった。











そして今日身体の痛い私を新開君が甲斐甲斐しく私の世話をしてくれる。なんとも良い彼氏で良かったと言うか…。

「…新開君、手慣れてる感じが嫌い」

私の隣で添い寝する新開君に呟く。

「いやぁ、そんな事ないぞ?」
「…よく出かけてたじゃん、違う香水つけてきたじゃん」
「…悪かった」

そう言い私の頭をグッと胸に押し当てる。厚い胸板がどこか頼もしく感じてしまう、認めたくはないのにこの安心感は堪らなかった。

「こんなんじゃ騙されないし」
「分かってる。おめさんが嫉妬してくれて俺すげぇ嬉しいんだ」
「っ!?」
「大丈夫だから、これから嫌っていう程に分からせてやるからな」

そう言い不敵に頬に口を寄せてくる新開君。

「…あのそれはそれでゾッとするんだけど」
「そうでもしないとなまえさんは分かってくれなそうだからな」

もう、そんな事ないのに…意外と夢中になっている自分自身を隠してるのだ。
だってそうじゃないといきなり同棲で身がもたない。

この甘い状態も幸せ過ぎるし、満たされていく感じがただ嬉しいのだ。

「…お手柔らかにね」
「っ!おお、もちろんだ」





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