幸せ者ですけど何か?
「こんなところで一人で飲んでんじゃねーよ」
一人で船の甲板で酒を飲んでいたら、背後から聞き慣れた声と同時に、ポスッと軽く頭を叩かれた。
「あ、エース」
「一人で飲むくらいなら俺も誘えっつーの。」
「そう思ったんだけどエースってばオヤジたちと騒いでたし、邪魔しちゃ悪いかな〜と思ってさ!」
ははっ、と軽く笑いながら酒を飲み続ける##name1##。…これ、何杯目だっけと呑気に考えながらどんどん飲むペースを上げていく。
「それに、私が飲むって言うとオヤジも飲みだすじゃない?そうなるとナースが止めても聞かないから収拾つかなくなるのよね」
「##name1##もオヤジに似て酒強ぇからな。張り合いたくなるんだろうよ」
「もっと自分の体のこと考えてほしいよね」
エースに笑いながらそう言うが、それは私自身にも言えることだった。…まだこの海賊団に来て数年のエースはそんなことなど知らないだろうけど。
…元々私は生まれつき心臓が弱かった。激しい運動をすると必ず発作が起き、死にかけるほどだ。…まぁオヤジのおかげで手術が出来たし、薬も飲んでるからある程度は戦える。私生活で困ることなんて何一つない。
私はそんな自分を不幸だなんて思ったことはない。白ひげ海賊団にいれることが何よりだし、それにエースが…愛しい人が傍にいてくれる。私は幸せなんだと断言出来る。
「はい、エースの分」
「おぉ、悪ぃな」
自分が飲んでいた酒を飲ますため、エースにグラスを渡し、酒を注いでやる。そして隣にいる彼に少し寄りかかった。
「…エース、」
「あぁ?どした?」
「…寒いかもー…ちょっと体冷えた」
エースは火だから、あったかい…なんて言いながら彼に甘える。彼の温もりが一番心地よく、安心できる。
「なら一晩中温めてやるよ」
そう言って、エースと交わした口付けは少し酒の匂いを漂わせていたけれど、気持ち良かった。
「エース」
「何だ?」
「好き」
「俺ァ愛してるぜ」
クスクス笑いながらエースと過ごすこの一時が、私の安らぎの時間なんだ。
(つーわけで、俺の部屋行こうぜ?)
(ちょっ、一晩中って本気!?)
(安心しろ、たーっぷり可愛がってやっから)
(…寧ろ安心できないからね、それ!)