誰か来てくれないか、と秋風が襖を開けて新選組の者を呼ぶ。すると何人かの足音がこちらの方へ向かってきた。







「随分余裕だな、わざわざそっちから俺達を呼び付けるなんてよ」


「それともあれか?男らしく腹括って、切腹でもする気になったのか?」


「ち、違います…!」


「…お前達新選組にもそれなりの事情があると言うことは先程の話し合いで何となくだが理解できた。だから今度は、私たちにもそれなりの事情があるってことを理解してもらうためにお前たちを呼び付けた」






からかうような永倉、原田の口ぶりに少しも動ずることなく秋風は淡々と述べていく。






「私たちの事情を聞いてからでも、どう処分すべきか決めても遅くはないだろう?」


「ま、その意見は間違ってはいない。…その事情とやらを俺達が理解し、和解へと進むかは別の話だが」


「そんなことはどうだっていい。もし私の存在が気に入らないのなら、腹でも何でも掻っ捌いてやる」


「!?秋さっ…」


「その代わり、この者は無事帰してもらう。この者は先程も申したとおり、何も目撃していないのだから当然だろう?死ぬのは私ただ一人で十分のはず。貴様等に私の命をくれてやるさ」






そうはっきりと告げる秋風の瞳は綺麗に澄んでいて…強い決意を感じられた。







「ははっ…!こんな負けん気の強ぇ女を殺しちまうのは勿体ねぇかもしれねぇな」






笑いを零しながら放った原田の言葉に、永倉と藤堂は瞳を丸めた。






「「お、女ぁ!?」」