「…何やお前、何で今日はそない真っ黒なんやねん」


「そういう気分です」


「全身黒こげになりたい気分って一体どんなんやっちゅーねん…」


「きっと平子さんには一生わかりませんよ」


「わかりとうないわ、阿呆。てゆーか、真子って呼べって言うとるやろ」


「嫌です」






蒼乃の研究室が爆発したため、現在浦原達が修理をしている。その間、蒼乃の相手にと浦原が平子を呼び付けたのだが…蒼乃の姿を見て平子は呆れ顔を浮かばせる。





「お前も一応女なんやから、身だしなみっちゅーもんにもっと気遣ってやなぁ〜…」


「身だしなみを気にする暇があるなら研究しますので。…喜助、まだ直らないの?」


「…んー、今回はいつもより派手っスから…修理には三日ほどかかるかもしれませんっスねぇ」


「…ほんと不便。眼鏡も新たに作り直さなきゃ」


「何や、お前そないもんも作れるんけ?」


「物質解析機能付き眼鏡」


「…は?」


「物質解析機能付き眼鏡…これないと、研究しているとき不便なんです。いちいち調べるの面倒ですから」


「……お前一体何者やねん」


「星月蒼乃ですが?」


「んなこたわかってるわ阿呆!」


「だったら聞かないでください」


「聞いてへんわ!阿呆!!」


「阿呆阿呆煩いです…」






声を荒げる真子に不機嫌そうに眉を寄せる蒼乃。わざとらしく耳を塞いでいる。







「…あー、こりゃ2、3日はかかるっスね〜」


「本当最悪。1日で何とかして」


「無茶言わないでくださいっスよ、蒼乃さん。私だって店の方もあるんですから」


「その2、3日の間が勿体ない。なら喜助の研究室使わせてくれるわけ?」


「それは困りますよ〜私は私で色々やってるんスから。あ、平子さん…悪いんですけど2、3日の間だけ平子さん達のところに蒼乃さんを置いてもらうことなんてできませんっスかね?」


「は?…まぁ別にそんくらい…」


「却下、無理やわそんなん!…だって」


「まだ俺答えてへんわ!!何勝手に断ろうとしてんねん!下手な関西弁使うなや!しかもお前のことやないか!!」


「ええ、そうです。私が無理なんです」


「はぁ!?この家無し娘が何贅沢言うてんねん!!」


「こんなにいちいちつっかかって来られたら誰でも無理だと思うでしょう?」


「…あのー、お願いですからいちいち喧嘩しないでほしいっス…」






喜助の小さな願いは叶うことなく、この後もしばらく終わりの見えない言い合いが続いたのだった。