「不本意ですがお世話になります」


「阿呆、素直にお願いしますと頼めや」


「まさか平子さんにお世話になる日が来るとは思いもしませんでした。気分は最悪です」


「黙れ阿呆!」




自分の研究室が直るまでの3日間。蒼乃は平子たちのところでお世話になることになった。





「とりあえず、その真っ黒な姿何とかしいや。風呂でも入り」


「別にこの格好でも支障ないのでいいです。それよりも眼鏡を作り直さなきゃならないのでそんなの後回しです」


「おまっ、いつまでその真っ黒黒すけでいる気やねん!お前がよくてもこっちがよくないんじゃボケ!ええから、さっさと流して来いっちゅーねん!」


「なら、私を視界に入れなければ大丈夫です」




蒼乃はにっこりと微笑みながら真子に返すが、その瞳は決して笑ってなどいない。そんな彼女の対応の仕方が余計真子の勘に触れることになるのだが。





「蒼乃ー!お前のそのひねくれた根性いっぺん叩き直したるわ!」


「慎んでお断り申し上げます」


「何やねん!一体俺がお前に何したっちゅーんや!!」


「まぁ落ち着けって真子。蒼乃は昔からこうだっただろ?」





見かねた羅武が二人の間に入るが、真子はどうも気に入らないらしい。
一方でそんな真子のことなど視界にも入らないと言うかのように、蒼乃はカチャカチャと何やら発明を始めた。






「ねーねー、蒼乃ちん!一緒におはぎでも食べよーよー!」


「馬鹿、そんなもん食う前に風呂が先だろ」


「だってぇ〜白、今すぐおはぎ食べたいんだもん!」


「…適度の糖分は頭の回転をよくします。…頂きましょう」


「さっすがー蒼乃ちんっ!話わっかる〜!」


「そんなん後や、阿呆」


「わっ…」






白の提案に乗ろうとした蒼乃の首根っこを捕まえて、真子はさっさと風呂へと連れて行こうとする。






「…私は猫じゃありません、離してください」


「さっさと風呂入らんからや」


「話がかみ合ってません」


「うっさいボケ。ごちゃごちゃくだらん考えしてる暇あったら風呂入れ、阿呆」


「…平子さんより阿呆じゃないと思いますが?」