たった一つの願いすら叶えられない少女
『ごめんな、琥珀』
そう言って、ギンちゃんはいなくなった。琥珀を置いて、いなくなった。
「…琥珀、またご飯食べてないわよ…!ちゃんと食べなきゃ倒れちゃうじゃない」
「……」
乱ちゃんの声が聞こえる。安心する、大好きな声。
…だけど、ごめんね。…今はご飯食べられないよ。
「…琥珀の好きなものばかり用意したのに。あ、じゃあいっそ現世に行ってあっちのご飯でも…」
「…乱、ちゃん…」
「…ん?どうしたの?」
「…ギン、ちゃんは……?」
「…っ!」
ギンちゃんのことを尋ねれば、乱ちゃんは顔色を変えた。
「…ギンちゃんは、どこ行っちゃったの…?」
「…琥珀、」
「…ギンちゃん…ギン、ちゃん……ひっく…うう…」
大好きなギンちゃんが、どこにもいない。
『ごめんな、琥珀』
最後に聞いたギンちゃんの言葉が、頭から消えない。
「…琥珀、よく聞いて…ギンはね、」
乱ちゃんがギンちゃんのことについて話してくれたけど、わからなかった。…わかりたくなかったよ。
「ギンは敵になったの…だからもう、ギンとは一緒にはいれないの」
「…敵…?」
「……そうよ」
辛そうに笑う乱ちゃんなんて、見たくなかったよ。
「…っいやだよぉ…琥珀、ギンちゃんと一緒がいいよぉ…っ!」
「琥珀…っ」
「どうしてぇ…?どうして、ギンちゃんは敵になっちゃったのぉ…!?」
「………っ」
「琥珀っ…そんなのやだよぉ…!ギンちゃん、ギンちゃあんっ!!」
「…琥珀、泣かないで…」
「ううっ…うわあああんっ!!わああああんっ!!」
「……ごめんね、琥珀。ごめんね…」
大声を上げて思い切り泣く琥珀を、乱ちゃんは優しく抱きしめてくれた。けどなかなか涙は止まってくれなくて…苦しかった。