再会、始まり
「へぇ、菜子って今まで一人で全国旅して回っていたんですかィ?」


「うん、旅が好きでね…。で、久しぶりに銀ちゃんたちの顔を見たくなって江戸に遊びに来たの」


「じゃあしばらくしたらまた江戸を出ていく気なのか?」


「ふふ、さすがにもう放浪するのも飽きましたしこのまま江戸に住もうかと…どうせなら知り合いが近くにいたほうが安心しますし」





土方ことトシと、沖田こと総悟の案内の元、銀ちゃんの居場所へと連れて行ってもらっている最中…その間に二人とは溶け込み、仲が良くなった。




「じゃあ問題ありませんですねィ?俺と交際を始めちゃっても」


「へ?」


「総悟ー!!テメー何抜け駆けしてんだ!?」


「仕方ありやせんぜ、土方さん。だって菜子、俺のタイプそのものなんですぜィ?」


「あァん?お前のタイプだと!?」


「S心が擽られる、苛めがいがありそうなところですぜィ」




まだ会って間もないと言うのに…一体どういう意味なんだろうか。




「菜子、気を付けろ。こいつはドSなんだ」


「そういう土方コノヤローは鬼畜じゃないですかィ」


(…つまりは二人とも危険だと言うことですね…。)





…と、互いの話を交わしている内にあっという間に目的地へと到着した。建物には大きぐ万屋銀ちゃん゙とでかでかと書かれた看板が掛けられている。どうやら間違いないようだ。





「旦那の家はこの二階でさァ」


「うん」




タンタン、と三人は階段を上り二階の入口前に立つ。





「おい旦那ー」




ガラッといきなり戸を開け、ずんずんと勝手に部屋の中に入っていく総悟にその後をついて黙って中に足を進めていくトシ。



(ねぇ、これって不法侵入じゃ…)



そう思った菜子だが、堂々すぎる二人の様子に何も言えなかった。





「おい、なんなんだよてめーら!お前等なんか呼んでないっつーの!」



そして中からは……懐かしい聞き覚えある声が聴こえてきた。菜子の表情は一気に柔らかいものへと変わる。




「…銀ちゃん…!」




気づけば菜子も先に中に入って行った二人の後を追った。体が勝手に動いた。





「俺だって好きでこんなとこ来たんじゃねぇよ!!」


「旦那に客さァ」


「あん?客だと……?」




中に入って行くと、やっぱり見覚えある銀髪………間違いない。





「っ銀ちゃん!!」





昔と変わらない幼馴染の姿に、菜子は自然と笑みがこぼれた。名前を呼ばれた当の本人は驚いた顔をしてこちらに振り向いた。





「おまっ……菜子!?」


「久しぶり、銀ちゃん!」


「何年ぶりだっけ、俺等?」


「んー…とりあえず結構経つね」




攘夷戦争が終わって以来…になるだろうか。それぐらい長い間…ずっと会うことがなかった。




「ホントに旦那の知り合いだったんすねェ」


「なんかヤラシイ関係じゃねぇだろうな!?」 


「あーやだやだ。これだからマヨラーは……」


「関係ねぇから!!」


(…銀ちゃんとトシのキャラが軽く被ってる気がする…)





どおりでトシと初対面な気がしないはずだ。




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