銀髪の侍さん
久々の地球!!たくさん買い物して、美味しいもの食べて、日頃のストレスを発散してやろう!……って、思っていたのに。
「なんで今私追いかけれてるのォォ!>」
半泣きで江戸の町中走り回る月白の背後には…いろんな星から来た天人たちがズラズラと彼女を追いかけている。
「あの女を捕まえろぉぉ!!」
「珍しい種類だぞ、アレは。なんて言ったって夜兎と人間のハーフだからな、捕えて高値で売りさばくぞ!!」
わ…私……う、売り飛ばされるゥゥ!?
「いーーやーーー!!」
泣き叫びながらバタバタと逃げ回っていた…そのときだった。
「きゃっ、ごめんなさいいっ!!」
追い掛けてくる天人たちばかり気にして、前を向いて走っていなかったせいで、人とぶつかってしまった。
『おいおい姉ちゃん、鬼ごっこすんなら公園行きやがれっつーの』
そのぶつかった相手は…銀髪でパーマで…死んだ魚のような目をしている侍だった。
「ご、ごめんなさっ…わたし今ちょっと追われてて……」
「おい、あそこにいたぞ!!」
「!?ひっ!ど、どうしよ……!!」
ぶつかった相手にペコペコと頭を下げている間に敵はどんどん私に近寄り、距離を縮めて来ているではないか。
あぁ、どうしよう。どこに逃げればいいんだろうかとあたふたと戸惑っていたら、
『…しゃーねェな、コノヤロー!後で嬢ちゃんにゃ宇治金時丼奢ってもらっからなァァ!?』
「へっ!?」
そのぶつかった相手…銀髪さんが私の腕を掴んでどこかへと連れて行ってくれるではないか。…いや、違う。私を助けてくれてるんだ。
「あ、ありがとうございます!銀髪さん!」
『その呼び方やめてくんね?何気嫌なんだけど、それ』
私は一体どうなってしまうのだろうか?
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