紅い月Honey


平凡なはずの日


いつまで経っても日が昇らない。
雨が降っているわけでも
雪が降っているわけでもない
怪しい色の雲が空を被っている。

時折不思議な光を放つ。
カーテンを締め切り
灯りは灯さない。

この街では、時折こんな不思議な現象が起こる。
そういった時は
こうして過ごすのが日常的だった。

イヤホンをしてラジオ放送を聞く。
家族のある人は
みんな同じ部屋に集まる。
たとえ、それが思春期や反抗期だったとしても。

まあ、反抗期だった場合、家に帰って来てない場合もあるから
その場合はどうなるのか
考えないようにする。
ただ、無事である事を祈る。

分厚いカーテンの向こう側が
怪しく光る。
さっきまで、分厚い布団に包まっていたけれど、さすがに、トイレは我慢できないと、部屋から出て、トイレに向かう。
その帰りに、家族に頼まれた、水分や食料を手に、十分ほど前までいた部屋に戻る。

私の家族は、父母兄姉の5人家族だ。
祖父母もこの近くに住んでいて(両方の祖父母)昔からこういう現象に悩まされていたらしい。

怪しい光は、嫌なことの前触れと言っていて、昔からこういう日は学校や会社は自動的に休みになる。(スーパーやコンビニ、薬局、役場など全てが休みになる。電気系の会社はこの街にはないため、一応電気は使える
。)
電話のように、音が鳴り響くものや(もし鳴ったら、その時点で電話線を抜く)
テレビのように、外に光が溢れるものは
禁止されていて
昔はイヤホンなど無かったから、ラジオも禁じられていた。
この部屋の明かりは、電池式のランプ1つだった。(トイレにいくときは、なるべく光の薄い懐中電灯)

さっきまで、紫色の光を放っていた空は、急に何もなくなった。
部屋に戻ると、父親が、神妙な顔をして、ラジオを聞いていた。

「なにか、変わった? 」
そう言うと
「………発行物体は、大人しくはなったけど、まだ、存在はしていると言っている。雲が晴れるまで、家から出るなと。」
「そう」
頼まれた物を、一人ずつの前に置いていくと、
「あ」
兄が小さくつぶやく。
「どうしたの」
姉がそれに返すと
「俺の水分これだけや…」
500mlの水を抱えて兄は言う。



- 1 -

*前次#


ページ: