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 「兵長!!お風呂場の掃除、ピカピカにすませておきました!」

バケツを掲げながらリヴァイのもとへ報告しにいけば、──の言葉から気を良くしたのか、いつもよりは穏やかな表情のリヴァイに──は少しだけドヤ顔しそうになるのを堪えた。

「そうか。...欠落品はなかったか?」

「はい!ありませんでした。兵長のために掃除の腕をあげたので、きっと立派な兵長の、お嫁さんに...なれると思います!」

「...そんな事は聞いてねェ」

渾身の告白もリヴァイにばさりと切られる。少しだけ落ち込むものの、自分の掃除の出来に兵長に喜んでもらえるだろう、と心踊らせる。

人類最強。そう世間から言われるリヴァイ兵長の事を好きになったのはずっと昔だ。
初めこそは想いを伝えるのに少しばかり緊張もしたが、1回言ってしまえばこっちのものである。普段からとめどなく溢れるこの兵長への想いを伝えても眉をひそめられるのがほとんどだが。

「──!ちょうどいい時にきたね。実は──に手伝ってもらいたいものがあって...一緒に来てもらってもいいかな?」

「ハンジさん!はい、私でよければ!」

リヴァイに用があったのだろうハンジは、入ってきた──に声をかけた。
手伝ってほしいと言われれば、今日の仕事の掃除も終わったことだし、迷いなくOKを出せばハンジは嬉しそうに笑った。

「じゃあ──は借りていくね、リヴァイ。いいかい?」

「ああ」

「兵長...!私がいない間もほかの女の人連れ込んだりなんてしちゃだめですからね!!」

「オイ。...早く連れていけ、そいつを」

「あはは!変わってないなあ──は、ほら行くよ!ちょっとの別れだから我慢してね〜」

たった少しだけの別れだけど自分にとっては悲しい。そんな思いをリヴァイに伝えてみるも、気遣う様子も寂しがる素振りもせずに見届けたリヴァイに──は、ちぇ、と口を尖らせた。

「相変わらずだね──のリヴァイ好きは。ほんと、兵団内でもっぱら噂だよ。くっつくか、くっつかないか。賭けてる人達もいるんじゃないか?」

「そうなんですか?!くっつかないに賭けてる人に私は1回だけ殴りに行きたいです」

廊下を歩いていれば、ハンジからの賭け事の話を聞いて驚いた。自分がリヴァイ兵長のことを好きなことを周りに知られていることは重々承知であるが、まさかそんな事が始まっていたなんて。自分が兵長とのことを噂されるなんて、と嬉しさが混じり──は思わず感嘆した。

「物好きな人もいるもんですね...」

「まあこんな殺伐した職にその話題は尚更盛り上がるだろうね、」

「ちなみにハンジさんはどっちに賭けてるんですか?」

「ん?私かい?」

そうだなあ、と顎に手を寄せて考えこんだハンジに──はどきどきと胸を弾ませた。ハンジが"くっつく"に賭けてくれていれば、──の自信の大きさも変わるだろう。
どうだ、とハンジの返答を大人しく待っていれば、後ろからモブリットが声をかけた。

「分隊長!何してるんですか、ほんとにもう...書類が溜まっててのんびり話してる暇なんてないんですよ!?」

「モブリット!ごめんごめん!サボってるんじゃなくてね、いま助っ人を呼んできたところさ!」

「.....また──さんをリヴァイ班から借りてきたんですか」

はあ、とため息をはいたモブリットを気にせずにハンジは、「よし、みんなで頑張ろう!」 とガッツポーズをして急ぎ足で部屋へと進んだ。

「あ、ちょっとハンジさん!どっちにかけて、」そう問いかけた──の声は、モブリットに怒られると思ったのか早足でかけていったハンジの背中に届かなかった。