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いったい何度唇を重ねただろう。一回だけだと思ったが、シャンクスのその唇が何度も何度も押し付けられ、小さく息が漏れる。

「シャ‥、んっ、」

「‥、はっ、」

角度を変えてなまえの唇を味わうようなそのキスは息をする暇もなく、くらくらと頭が回らなくなる程だ。
時々聞こえるリップ音や、シャンクスの熱がこもった息を吐く声は周りの静かさも相まってなまえの耳をひどく熱くさせた。

最初こそは好きな人とのキスに幸せに浸っていたが、シャンクスからのキスの雨に頭は朦朧としてくる。
せめて息を、とほんの少しの抵抗にシャンクスの胸元のシャツを、きゅ、と力なく握るが、その行為でさえシャンクスにとってはキスを煽るようにしか思えない。


「んん‥っ、?!」

ぬるりとしたシャンクスの舌がなまえの小さな口に侵入すれば、つぶっていた瞳を驚きからぱちりと開く。
するとなまえの顔を赤くし、必死にキスを応えようとするそのいじらしい顔を堪能していたシャンクスの鋭く欲にまみれた男の瞳と目が合い、恥ずかしさからすぐに再び目を強くつむる。


シャンクスの柔らかいその舌はなまえの口の中を遊ぶように動き、そしてなまえの舌に何度も何度も絡みついてくる。

息苦しさから逃げ出そうとするなまえの頭をシャンクスは掴み離さない。

「ん、、んぁ」

「‥は、っなまえ、」

くちゅ、と脳に痺れるような水音が何度も聞こえ、恥ずかしさから肩がぴくんと跳ねる。

何か思いたったように、シャンクスは唾液で糸が繋がる唇を名残惜しそうに離し、そのままなまえの白い首筋へと噛みついた。

「ぁ、!いたっ!」と叫ぶなまえの声も聴かず、元々ついていた赤い痕の上から、シャンクスは上書きするように吸い付いた。
男のキスマークを消すように、先程より一回り大きいその赤さはシャンクスのどろどろとした独占欲からだ。

シャンクスは、それだけでは収まらないその気持ちに、なまえのはだけたその首元の洋服をずらし、鎖骨下へリップ音を鳴らした後に、もう一つのキスマークを付けた。



まさかあのシャンクスに、キスマークをつけて貰えると思わなかった。そしてあの深い口付けも、数分前までは抵抗していたくせに、離れてしまった今はただただ口寂しく感じさせた。

先程からばくばくと強く鳴る胸の音を隠すようになまえは声を出した。

「いたい‥。シャンクスのばか」

「ああ、わるいな」

拗ねたように口を尖らすなまえに、愛おしそうに目を細め笑うシャンクスは、するりとなまえのすべすべとした頬を撫でるように触れた。


もっとシャンクスに触って欲しい、触れていたい、と長年隠していたその感情は、なまえからどんどん溢れ出すようだ。







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