12.やわくてほんのりにがい
「っは」
「・・・」
リヴァイの小さく驚くような声が、シンと静かな部屋では大きく聞こえる。
言いすぎてしまったと自分でも思った、言われた側でもないのにずきりと心臓が傷んだ気がした。
「今何て言った」
「べつに・・・、そんな何度も言うべきことじゃないです」
リヴァイの鋭い視線が怖い。今まではそんな事感じたこともなかったのに。
こんなにリヴァイへと冷たく接しているのは初めてかもしれない。このまま一緒にいると、作戦のボロが出てしまいそうで長く一緒に居たくなかった。
「〜っとにかく、話が終わったら戻ってください!いつも忙しいって言ってるじゃないですか、!ハンジさん達もきっとさがして」
「言いたい事はそれだけか?」
遮るように声を被せてきたリヴァイの低い声になまえはびくりと体を揺らした。
眉間に皺を寄せて心底不愉快そうなその顔は真っ直ぐになまえを見つめ、コツコツと近付く音が鮮明に聞こえた。
「やっ、」
反射的に一本ずつ下がるも、すぐに背中が壁につく。
「嫌だと?昔のお前からは想像出来ない言葉だな。なあ、なまえ」
「あ、の」
「なんだ」
「ちか、ちかい、です」
途端に赤くなる頬に熱さが集まるのを感じ、なまえはうるりと瞳を潤ませた。
「おい」
バクバクと鳴る心臓がうるさく思い知らされる、この男が好きなのだと。
「その顔をあいつにも見せたのか」
「〜ッどの顔ですか・・っ」
「・・・チッ」
恥ずかしさから、咄嗟に隠すために右手を顔の前にかぶせようとするも、リヴァイはそれを阻止するようになまえの細い手首を掴んだ。
「いいか、なまえ」
まるで恋人のような距離感に、鼓動が早まるのが分かる。
「お前は毎日俺の事だけを考えてればいい」
リヴァイの真剣な吸い込まれそうな瞳に思わず息を止めた。思わず直視出来ないと下へ視線を逸らそうとするも、リヴァイは右手でなまえの頬を荒々しく掴んだ。
「新兵達に笑いかけるな。お前はずっと俺の隣でガキみてえに笑ってりゃいい」
「ちょ、っと待ってくださ」
「昔のように周りの男は諦めさせろ」
「リヴァ、」
「お前はどうしようもなく、俺の事が好きだと」
「・・」
今までのリヴァイからは考えられないような言葉の数々になまえの頭はぐるぐると混乱していた。
頬を赤く染まり、何も言わないなまえに対してリヴァイは追い討ちをかけるように顔を近付けた。
「返事はどうした」
「ぇ、」
「おい」
「は、い・・、?」