03
「ま、って‥いま、なんていった?」
「俺の女になったって事だ」
そうやって顎に手を添えられ、自然に唇を重ねられれば、ぶわりと頬に熱が集まるのが分かった。
「え、‥ッ?お頭、あの」
「シャンクスだ」
「‥‥‥シャンクス、」
「どうしたなまえ」そうやってもう一度キスを落とすこの男は既に色気がすごい。
なんなんだ、この甘すぎる空間は。
耐えきれずに寒くなってきたから早く船に戻ろう、と急かせば了承を貰えた。
そのあとはアルコールがきついと嘘をついて、すぐに自室に帰らせてもらった。あの場ではもう頭がパンクしそうで、早く1人になりたかったからである。
当然起きてから昨日の夜は全て私の夢だったのでは?なんて甘い考えも横切った。
だがそんな考えは、朝食堂へと向かう途中で会った赤髪の男に、ちゅ、とおはようのおでこのキスを頂けばすぐに消えた。
ぼーぜんと立ち尽くしていれば、後ろから起きてきたベックマンに「大丈夫か?」と声をかけられる。
「だいじょばないよ‥。ちょっと予想外の展開すぎてどうすればいいの‥?」
「俺達は予想通りだったがな」
私に対してアピールは一切なかったのに、クルーのみんなが声を揃えて予想通りだと言われれば、それはお頭が告白されたらイエスマンだということなのか。いや、でも長年一緒にいるが、そんな事はないイメージが勿論あるし、とんでもなく人たらしではあるが、この目の前にいるベックのように浮き足立つ話が目立つようなタイプではなかったはずだ。
「ねえ‥お頭は誰とでも付き合うタイプってこと‥?!」
「いやそんな事はない。‥‥‥が、そう思わせたのは今までのお頭の責任だな」
*
宴会の日の告白があってから、晴れて"赤髪のシャンクスの女"という肩書きをゲットできたわけである。
あの時と言えばまさかOKが貰えるとは微塵も思ってなかったし、何度も何度も確認した。が、「そんな信用ねェか?」と笑われるだけだった。
当たり前に信用はない。何回も言うが、私に対して恋愛感情があるといったアピールは今までに一度も無かったし、心配される事や守るから、など勘違いしてしまいそうな発言はあったが、それは船長として女クルーへの気遣いだということは理解していた。
だからこそ告白がOKされたというのは私にとってとてつもなく驚くべき事だ。
今後どうすればいいんだ、と相談してもベックもヤソップもこれから幸せにな、俺達のおかげだぞ、なんて求めてもいない回答しか返ってこないので肩を落とすしかない。