09

シャンクスの真っ直ぐな視線が居心地悪く、視線を下に逸らした。
無言を肯定と受け取ったのか、シャンクスはゆっくりと口を開く。

「どうして別れたいと思ってるんだ」

「・・っ!」

ばれていたんだ。驚いてつい目を見開きながらシャンクスの顔を見つめれば、ジッと私を試すかのような鋭い視線に冷や汗が出てしまいそうだ。

「なん・・でそれ、っ」

「否定しないのか」

「!ちが・・」

違うと言い切れないその質問と、シャンクスのいつもと全く違うその目にドクドクと心臓が速くなっているのがわかった。

慌てて嘘を吐こうにも、全て見透かされそうな瞳に見つめられれば嘘はつけない。
ぎゅっと力を込めた拳はじとりと手汗が滲んだ。

「ご、めんなさいっ、」

「・・謝られたいわけじゃない。本当にそう思っているかどうか聞きたいんだ」

「・・」

「なまえ、」

無言になる私から言葉を引き出そうとするためか、少しだけ優しくなったシャンクスの声色。
ここまで勘付かれてしまったか、誰かに告げ口されてしまったかは定かではないが、今はそんなことを聞ける立場ではない。


「・・わかれ、たい」

「・・」

そう呟いた、弱々しく掠れた私の声を聞いた途端シャンクスは私の腕を掴み何も言わずに歩き出した。

「!ぃたっ」

強く掴まれたその腕は、明日には赤くなってしまうんじゃないかと思うほどの強さで、初めての乱暴さに反射的に声が出てしまった。

「悪いななまえ、お前は自分から俺の物になりにきたんだ。そうそう離すつもりはねェ」

「ちょ、ちょっと待ってシャンクス!」

「・・」

別れたいと伝えた罪悪感と、いつもの甘ったるい声に慣れていたせいか、その冷たい声に少しの恐怖が芽生える。

止まってちゃんと話し合いたいと、終わるなら今までのお礼を伝えたい、と後ろから声をかけるも目の前の男はまるで私の声が届かないようだ。

「ね、シャンクスどこ行くの?最後くらい話し合おうよ」

「俺は最後にするつもりはない」

「ねえ止まってってば・・っ!」

立ち止まった所で、まさかシャンクスの力に敵うはずもなくずるずると引きずられてしまうので大人しく歩いてはいるが、行き先もわからない。

いつも陽気なシャンクスに甘やかされ、口論などした事も無く、私が勝手に怒る時でも喧嘩にならずにシャンクスがひたすら折れてくれていたのだから。話しかけても無言か、否定されるか、まるで話し合う気がないシャンクスは珍しく、その逞しい背中をぼんやりと見つめた