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「それで、どうしたんだよ。エレンがなんかしたのか?」
「な、別にエレンは関係ないから!」
「...お前嘘つくならもっと上手くつけよ」
「うっ」
ズバリ当てられて思わず狼狽えてしまうが、ここで負けたら認めているようなものだと気持ちを強くもった。
「なんでそんな、エレンだと思ったの」
「そりゃあお前のその避けっぷりをみれば誰でもわかるだろ」
「やばい、そんな分かりやすいかな私。最低じゃん」
そんなに露骨な避け方をしてしまっただろうか、少しだけエレンに申し訳なくなってしまった。こうなったのは全部エレンのせいだけど。
いや、でも皆んなに分かるように避けるって人としてどうなの?と葛藤にどうすればよかったのよと、頭を抱えた。
「ま、まあエレンは関係してるような、してないような.....。でもユミルが期待してるような面白いことはないから!」
「はいはい、分かったよ。べつに私にとっちゃどうでもいい事だ」
「...どうでもいいなら聞かないでよ」
「いいだろ別に」
まだニヤニヤとしているユミルの顔を思わず殴ってしまいそうになるのを堪えた。
確かに当事者は悩んでいても、こんなこと第三者からしたら面白い話題でしかないだろう。
自分が逆の立場だったらどうなっているのか周りに聞いているだろうから。
「それよりさっき教官に頼まれたんだけど、代わりに頼まれてくれねえか?」
「ええ、やだよ。めんどくさいもん」
「断るならエレンとのありもしない噂流す」
「な!それ立派な脅迫だからね!?」
「どうする?」
「〜〜ッ、もう!ユミル!」
そんな事言われたら断れないじゃないか、隣でなまえの反応を見ているユミルをひと睨みしてもユミルはからからと笑うだけだ。
「まあ簡単だよ、物置小屋からハタキ持ってこいとのことだ」
「なにそれ、そんなの明日でも良くない?」
「知らねえ、これから自室でも掃除すんじゃね?」
「...」
教官からの頼みだなんて急いで言った方がいいじゃないか、と残っているパンを頬張って、大股に食堂を出ていった。
これが教官じゃなかったら自分で持ってきてくれる?と言いにいっているだろう。
教官室から物置小屋なんてそこまで距離ないよなと文句が頭にぽんぽんと浮かんでくる。
周りに人がいないのをいいことに、なまえは大きくため息をついた。
最後のユミルの勝ち誇ったような笑みは二度と忘れないだろう。