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「俺はお前のことが好きだ、なまえ」
「!」
なまえは元々大きい瞳をこれでもかというくらいに見開いた。
エレンの照れたように頬をかくその顔になまえの心はいとも簡単に撃ち抜かれた。
「‥.なまえは俺のこと、その‥‥どう思ってるか知りたくて」
伝え終わったあとに少し目線を外したエレンの頬は、ほんのりと色づいていた。
そんな始めてみるエレンの可愛い顔になまえはつい、くすりと笑った。
「そんなの決まってるじゃん...」
「おい、なに笑って」
「好き」、そう言ってエレンの染まった頬に手を当てた。
するとほんの一瞬驚いた様子のエレンは、すぐに口角を上げた。
そんな変化に気付いたのも束の間、エレンはなまえの唇を荒々しく掠め取った。
「ん、」
ちゅ、と弱々しくリップ音がなり息が重なった。
今までの時を埋めるかのように降り注がれるキスの雨になまえは息が止まりそうだった。
「俺も好きだ」
顔が離れた後に、はにかむように言ったエレンになまえは心臓を締め付けられた。
「うん、知ってる」
こつんとおでこがくっつけられ、視界いっぱいにエレンが広がる。
エレンは愛しそうに見つめる中、そんな恥ずかしさからなまえは視線を外した。
「でもなんか...今さらじゃない?」
「そうか?」
散々キスしてきたくせに、となまえが呟くとエレンは顔を離し、少し考えたあとにきまり悪そうに頬をかいた。
「いや、ライナーに怒られちまって」
「ライナー?」
どうやらライナーにお互いの気持ちを確かめてからにしろ、と言われたらしい。
だからライナーは調理当番の時に何か知っているようだったのか、となまえは昔の謎が解けて1人心の中で思った。
というか知っているならそれをそのまま伝えてくれればこんなに悩まなかったのに、とライナーに不満を感じる。
「ムードがどうとか言われたから色々考えてたんだよ...。だから思いつくまでなまえと極力会わないようにしてた」
会ったら触れたくなっちまうから、とさらりと発せられたエレンの言葉になまえは嬉しさと恥ずかしさで、胸が高鳴ったのを感じた。
そんなこと言われてしまえば避けられたことなんてどう考えても怒れない。
むしろエレンが自分のことを考えてたなんて言われれば嬉しさすら湧く。
少し前までは最悪だと思っていたが、この状況に感謝すらしてしまいたいくらい、どうしようもないくらいエレンが好きだ。