06.Fri.Sep.2019

晩夏もしくは初秋の夜

 午前3時。暑さで目が覚めた。
 比較的涼しいからとアイツに引きずり込まれ寝ていた部屋の温度は上がっているようで、ほんのり汗をかいている。
 スマホを手元に引き寄せてみれば、表示された天気予報は昨日よりも気温が高くて。目が覚めたのが頷けると同時に、体に篭る熱と肌に触れる熱が一気に煩わしくなる。
 こうなってしまえば、もう眠気があれどまた眠りに就くなんて早々できないのは自覚している。
 そのままうだうだと起きていても明日が辛くなるだけなんて解りきっているし、もういっそとベッドを抜け出す。熟睡してなお腰に絡みつく腕はそっと外して。
 自分の部屋でエアコンを入れ一気に部屋を冷やしていく。寝るには寒い温度を表示するリモコンを置いて一先ずはトイレに。
 戻ればドアが開いて寝惚け眼もいいところのアイツが目を擦りながら出てきた。

「    さんいない…」
「暑いから部屋に戻るよ」
「やだ」

 即座に返される子供のような返事。
 思わず苦笑が漏れる。

「お前、エアコン苦手じゃん」
「やだ」

 まだ頭が寝てるのだろう、同じ単語しか返って来ない。

「俺も無理。寝らんないよ。…おやすみ」

 まともな会話は不可能だろうと判断して無理やりにでも切り上げる。事実、以前も似たような会話が平行線のまま続いた事があるし。
 宥めるように軽く頭を撫でてから部屋に戻った。
 快適な温度に冷えた部屋に満足して設定温度を通常に戻す。ベッドに潜り込めばひんやりとしたシーツが心地よかった。
 元々眠気はふわふわと残っていたから、落ちてくる瞼に暑くない部屋で心地よく眠れそうな予感を感じて素直に従う。
 意識が落ちる直前、静かにドアの開閉する音と、自分より少しだけ高い体温が背に張り付くのを感じた。