08.Tue.Oct.2019
「ねぇねぇ、アカさんはこういうのが似合うと思うんだよね。どう?」
「は?」
いやどうとか聞かれても。
そんなツッコミが脳内を過ぎった。
アイツが嬉々として向けてきたスマホの画面に大写しになっているのはレースたっぷりのマーメイドドレス。
メリハリのない、すとんとした野郎体形の俺には似合わないデザイン。せめてストレートが良かった。
…そうじゃなくて。
「なんでドレス?しかもウェディング…」
まさかの女装の提案に首を傾げる。ハロウィンとか?
首を捻りつつ見返せばアイツの頬が赤くなった。
「俺達の結婚式…」
「着ねぇし。そもそも俺ら付き合ってもないだろ」
途端にしゅんとするワンコの頭をとりあえず撫でてやる。
落ち込んだというか、不貞腐れ気味の顔をしながら素直に手に頭を擦り寄せてくるのが可愛い。
「何でいきなりウェディングドレスよ?」
問いかけてやればぱっと顔を上げた。見えない尻尾がぶんぶん振られているように見える。やっぱり可愛い。
「この間のスケッチブック見てて、着てもらいたいなって!」
あれかよ。
「あれは仕事用。俺が着るもんじゃねーわ」
ぶー、と口に出しながら唇を尖らせるアイツを仰向けに転がして腰に跨がる。
それだけで目の色が変わる。そんなとこがちょろくて可愛い。なんて、思ってみたり。