ご子息の気配がしたのだ、と言って瞼がぎょろぎょろしいことのこども。青白い疫病のような肌色がどうしたって恐ろしく、例の河川で一人きり、ぶちぶち積み上げた砂利の塔山をあどけない細君の蹴っ飛ばしで、がらがら死んだ石達磨の死体どもにもまるでニコリともしない幼いこどもだった。
「お前、ここいらじゃ見ない顔だな。どこから来た。両親は健在か」
こどもがううんと、それはそれは滅多に小綺麗な顔で、睫毛が咀嚼的なような目瞬きがそれきり、で、目首がたっぷり、ぐるりと四度分だけ、回った気がした。
本当にそうだった。俺はこどもに手裾を親指で触れられたのかと思った。“こどもの爪が、駄々で袖を摘まんだから、見て、これが一体どうしてかわいいかと、こどもの目鼻を丸くなる中指がつい、はじきをぴんと殴るときみたいな触感のついでに、ちょっと、こどもの前髪に触れたのに、俺はどきりとして腕をあっと引っ込めて「手遊びの相手なら、俺じゃなく、弟の方に頼め。俺は忙しいんだ。それに、奴の方が、上手いぞ」”って、言った、……のか? 俺が?
「女児の手遊びなんて、あのひとは知らなかったよ」
今、夏のせいではないなにかが。
「……お前。俺に今、何かしたな」
そうしたら、このこども、笑いやがった。
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