「キス、しませんか」
「子供、好きでしょう? 未成年の、こども」
「僕と、してみませんか」
僕は、彼女の朦朧とした指を手首で掴まえて、彼女とキスをした。まるで気持ちがいいような、そんなぐったりしたキスをした。僕はいよいよ彼女と恋人みたいになれたようで、それが夢のまにまに、少しだけ嬉しいと思った。でも僕はやっぱり全然嬉しくなんてなくって、どころか、僕は彼女をもっとも、醜悪で、浅ましく、疎ましい存在だと感じるようになってしいた。だって、ちょっとだけ彼女はいやそうにした。赤い舌を丸く引っ込めたみたいだった。僕はキスやめると泣いてしまった。彼女は僕を見ている。どうもしないで、ただ見ている。自分だけが彼女を好きなようで嫌だった。もう中学生なのにぐずぐず泣いている僕に、彼女は本当になにもしてくれなかった。なんなんだ。僕はこのひとにどうしてほしいのだろう。このひともこのひとで、嫌なら嫌だ、って僕を突き飛ばしてしまえばいいのに。僕が傷付くと思うから? 僕が傷付くから、拒まない? こどものすることだから、好きにさせておけば良いって思ってる? あんた、そんなひとだったのか。でも、これが全て僕が、こんなこどもだから? 僕が中学生だから? 僕が悪い? 嫌い、嫌いだ。あんたなんか。僕はたった13年ぽっちの生涯を否定された気がした。否定されて、このひとに潰された気がした。無駄だと思った。無駄そのものだった。僕があんたを好きなことが無駄だとわかった。僕は後7年なんて待ってられないのだ。僕は今がいいのだ。今じゃないと駄目だ。なのに、僕はどうしてまだ中学生なのだろう。
「どうして、拒まないんですか。嫌なんでしょう。こんなこどもに好かれて、迷惑でしょう。ひょっとして、慰めているつもりなんですか。僕がこどもだからですか。僕はあなたに釣り合いませんか。どうしても応えてはもらえませんか。それが、今じゃあ、だめなんですか」
あぁ、兄さんが見ている。
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