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『上に行くものには更なる受難を。雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra!』

取ってしまえばそれで一位確定の圧倒的な持ち点。それであるがゆえに狙われることは必至。その中でチームをうまく組めれば逃げ切れるし、組めなければ即終了。

しかし、現役高校一年生になかなかの難題を突きつけるね、この世界は。

『制限時間は15分。そして、重要なのはハチマキを取られてもまた、騎馬が崩れてもアウトにはならないってところ!』

「てことは…」
「43名からなる騎馬10-13組がずっとフィールドにいる訳か」
「シンド☆」

確かに15分間騎馬が崩れてもアウトにならないとなれば、余計緑谷不利じゃない?一斉に狙われたら流石にキツイでしょ。うーん、俺も緑谷と組むのはキツイかな。さっきの予選で思った以上に体力削られたからずっと結界出し続けられるかもわかんないし。

「コレ、鋭児郎向けの競技じゃん、さっきの挽回してやりなよ」
「あぁ!こう来なくっちゃな!」

ガンッと合わせた両拳が硬い音を鳴らす。フィジカル的に鋭児郎有利な競技だもんね。そりゃあイキイキするよね。さっきまでのしょぼくれ加減からの上昇に思わずニヤッと笑う。それを見られて横っ腹どつかれたのは内緒である。

『個性発動アリの残虐ファイト!でも…あくまで騎馬戦!悪質な崩し目的の攻撃などはレッドカード!一発退場とします!それじゃこれから15分!チーム決めの交渉タイムよ!』
「え、15分!!!?」

マジか。え、全員の個性把握してない中知らない面子と組むのは博打になるから、必然的にクラスメイト縛りになってこないこれ。しかも、俺の個性勘違いしてそうなやつ多そうだし。

絶対俺声かからないやつじゃん。自分から行かなきゃいけないか…。

「えー…どうしよ」

せめて一人いてくれたら騎馬になるんだけどなあ。

「俺の個性で役に立つ騎手といえば…」

ブツブツと呟いていた鋭児郎は思いついように、多勢から組もうと声をかけられている爆豪の輪の中に飛び込んでいった。あの爆豪の爆破に耐えられるといえぱ確かに鋭児郎くらいだよね。

お、轟はもう決めたのか早いな。

どうするか、徐々に決まりつつあれチームを眺めながら、まだ決まりきってない面子を見遣る。個性使用可であれば守りに徹する事ができるからそれを売りにはできる。あとは、騎手をどうするか。何人で組むか。

ソレによって変わってくるよねー。うーん、こういうチーム戦になると前世のほぼ完全個人主義な戦い方しかしてないから苦手なのが明るみに出るな。これって将来ヒーローとなって他の人とチーム組んだりするときの弱点になるよね。あー、もうめんどくさい。

とりあえず、騎手として声かけときたいのは。

「蛙吹、もうチーム決まっちゃった?」
「夜守ちゃん、いいえ、まだ決まってないわ」
「じゃあさあ、俺とで良かったらチーム組んでほしいなぁと思って、どうかな?」

じー、と蛙吹の大きな目が俺を捉える。うーん、この見定められてる感じ、やっぱり断られるかなー。

「いいわ、組みましょ。ケロ」
「え、ホントに!ありがとー!」

ホッと一息。いや、だってあと組んでくれそうな人思いつかないし。

「あとのメンバーはどうするの?大体みんな決まってきちゃってるみたいだけど」
「うーん、俺は蛙吹さえ良ければ二人チームでもいいかなーて思ってるんだけど。どう?」
「そうなると夜守ちゃん一人に騎馬任せちゃうことになっちゃうわよ?」

キョトンとした顔を浮かべられる。いや、蛙吹に騎馬になってとか言うはずないし。俺だって蛙吹背負うくらいできるからね、それくらいの体力はあります、はい。

「あー、それは全然平気。任せといて。俺の個性で足場作っとけば俺一人でも蛙吹の体不安定になることないと思うんだけど…てか、逆にあとの二人組って峰田と障子のグループとB組だし。このままがいいかな」

峰田たちは障子がどう考えても騎馬だし。そうなると体格的に障子と騎馬組むのはしんどそう。だってあいつ体格良すぎるし。あと知らないB組と組むのは博打だからやめ。向こうも組む気無いだろうし。

「てことで、よろしく。蛙吹」
「ええ、こちらこそ。あと梅雨ちゃんと呼んで」
「あ、ハイ」

『15分たったわ、それじゃあいよいよ始めるわよ』
『さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!!』

「俺らのポイントは俺が185で蛙吹、梅雨ちゃんが145で330ね。いい感じゃない?」
「そうね、点数次第ではハチマキ数組取って夜守ちゃんの結界で凌げれば私達の勝ちね」

ケロ、と語尾をつける蛙吹はハチマキをマジックテープでしっかり頭に巻きつけた。俺も自身を基礎に足場の結界を形成する。俺を基礎に結界張れば俺と一緒に結界も動くし、蛙吹も安定して結界の上にいられるし万々歳。え、結界は肩の所に張ったけど?だって腕まで囲ったら腕使えないし、重心って上に行くほうが重くないんだよ。

ぴょん、と身軽な動きで俺の肩に形成したら結界に飛び乗る蛙吹。うん、大丈夫そう。安定してる。

「あす…梅雨ちゃん、俺の頭掴んでいいからねー」
「ええ」

『よォーし、組み終わったな!!?準備はいいかなんて聞かねえぞ!いくぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!!』

『3!』

『2…!!』

『1…!!!』

『スタート!!!』

さて、どうでますか。

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