ゼロとの邂逅


DC混合 もし、空は蒼いか主人公がMHAに転生せずDC世界に転生したならば。
最近のゼロの執行人に乗っかってみました。管理人映画見ていなければアニメ漫画ともに知識ありません。付け焼き刃です。
なんでも許せる方はどうぞ。






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「お待たせしました。コーヒーです」

目の前にことりと静かに置かれたコーヒーに持っていかれていた思考が引き戻される。礼を言おうと軽く目線を上げるとあまりにもキラキラとしたオーラを放つイケメンがいて思わず目を瞬かせた。眩しい。その笑顔は俺なんかじゃなくて隣でそわそわしてるOLさんにかけてあげるほうが生産的だと思うんです、はい。つられてへらりと笑ったあとに手に触れたノートを見下ろし小さくため息を漏らした。




帝丹高校に通い始めて早3日。俺の入った2年B組のクラスは変な時期に転校の俺を暖かく迎え入れてくれた。んでもって初日から遅刻をした俺の理由を担任が告げると『ああ…』と何故か全員が納得したような、どこか達観したような表情を浮かべていたものだから思わず首を傾げてしまった。その後の転入生の洗礼儀式という名の質問攻めに合いつつ、先程のことを聞けば『米花町だから』と返答が帰ってきた。え、もしかして米花町て治安が悪いとか?マジか。

しかしまぁ、そんな頻繁に俺の周りで事件が起こることはなく。世間はいろんなニュースが飛び交って、時々どっかの探偵が事件を解決!とかアナウンサーが言ってるけど右から左へと聞き流してる。だって興味ないし、知らない人だし。女性アナが興奮したように寝てる間に事件を解決してー、とか言ってるけど、は?って感じだよね。なに、寝てる間に解決って。特技にしては特異すぎる。

話が飛びすぎた。

比較的真面目に前の学校でも授業は受けてたはずなのに、ここの高校レベル高すぎる気がする。教科書が違うのは仕方ない、諦めよう。しかし、今授業してる場所が高校二年の教科書の後半とかどういうこと。今まだ梅雨時期なんだけど。前の学校のときの教科書まだ前半も前半の範囲なんだけど。

前世で一回高校生しているとはいえ、これはまずいと思ったわけですよ。

とりあえず主要5科目。これを追いつかないといけない。副科目は最悪叩き込めばテストはいけるだろう。しかし主要5科目がこれだけ習ってる範囲が違いすぎると叩き込もうにも時間がなさすぎる。てことで人海戦術。クラスの何人かにノートを借りる作戦を決行したわけです。

洗礼儀式を受けているときに授業の進捗状況も話が飛んだから、みんな快く貸してくれている。大変だろー、とか言って密かに先輩から代々受け継いでいると言われるテスト対策ノートまでかしてくれるのだからこのクラス優しさの化身ではないだろうか。

借りてきたノートと真新しい教科書を睨めつけながら真っ白なノートを黒と赤で埋めていく。その作業を繰り返し、一冊目を終えたときに事件は起きた。この英語の教科書を貸してくれた隣の席の毛利蘭。問題はノートではない、いや、ノートのことだけど。

初日から英語のノートをかりつつ、授業があればそれを返し、借りてを繰り返していたのだが、今日も同じように授業後にそれを借りたのだ。よし、移し終わった!と達成感満載だった俺が我に返ったのは自分のノートに書かれた"本日の課題"が目に入ったからだ。

ノートがなければ課題ができない。

なんてシンプルながらも絶望を叩きつけるにはうってつけの言葉であろうか。今日は水曜日。英語の授業は明日の1限目だ。…毛利が賢かろうが間に合わないだろう。今日中に返さないと毛利に迷惑がかかる。由々しき自体である。

とはいえ、登校三日目。毛利とは席が隣というだけで彼女の放課後の行方など知る由もなく…。とりあえず教室に残っていたクラスメイトに確認すれば"空手道場にいるんじゃね?"との言葉が出てきた。意外すぎる。しかも主将とか…文武両道すぎやしないか?

私立なこともあいあまり、結構な広さの高校の敷地内を空手道場を目指して歩く。もちろん、場所はクラスメイトから教えられた。手とり足取りありがたい。

「…誰もいないんだけど」

場所を間違えたのかとウロウロしているとロードワークから帰ってきたらしい汗だくの剣道部から"今日は空手部休みだぞ"というお言葉が。え、じゃあもしかしてもう家に帰ってる感じ?えー…、まさかの突撃お宅訪問。

次に向かったのは職員室。職員室を覗けば机にかじりついていた担任がどうしたのかと不思議そうに顔を上げた。事情を説明すれば簡単に毛利の住所を教えてくれるものだから俺のほうが困惑する。え、個人情報保護法ってなかったっけ…?あ、毛利の父親が私立探偵?だから個人情報だだ漏れだから今更だろとか、先生それ言っちゃだめなやつ。

そんなこんなで、毛利探偵事務所なうです。

「すみませーん!」

応答の帰ってこない毛利探偵事務所。インターホン押しても反応がないから留守なのだろうか。上が自宅だと聞いていたからそこのインターホンも押して見るが、反応なし。マジか。

ノート一冊に振り回され、いや、貸してもらってる身分でそんなこと言っちゃだめなんだろうけど。精神的にも足もクタクタである。

とりあえず、とビルの外に出てキョロリと周りを見渡す。"喫茶店 ポアロ"、老舗感漂う雰囲気だが俺くらいの高校生が入っても問題はないだろう。なんせ疲れた。それにここにいれば毛利が帰ってきたらわかるかもしれないし、なんせ疲れた(大事なことだから二度言う)。

喫茶店のドアを押し開けるといらっしゃいませー、という爽やかな声に迎えられる。どこでも座っても良いのか、店員に視線をやって、…爽やかな笑顔に思わずぱしぱしと目を瞬かせた。

「お好きな席にどうぞ」
「あ、はい…」

そそくさと、爽やか店員さんから視線をそらし店の奥まった二人がけのテーブル席へと足を進める。…そんなに混み合ってないし問題ないだろう。椅子に深く腰掛け、ホッと一息ついたところでタイミングよくお冷が運ばれてきて、視界の中に映るのは浅黒い肌の手。そろりと視線を上げればにこにこ眩しい笑顔の店員さん。

「メニューはこちらになりますのでどうぞ」
「あ、はい、どうも」

…そして、冒頭に戻るわけである。笑顔が眩しい。爽やか店員さんがカウンターに戻ったのを見届けてから、芳ばしい香りのするコーヒーに舌鼓を打つ。ほんのりとした苦味と酸味で飲みやすい。豆の種類などは全然知識がないからわからないけど、美味しい。

老舗喫茶店独特の静かでゆったりとした雰囲気に静かに息が漏れる。居心地がいい。のんびりとコーヒーを飲みながらちらちらと外を眺めるがこのビルの二階へ続く階段を登る人の気配はない。…どうしようか。

正直なところここの店員さんが許してくれるなら勉強したい。時間もったいないし、確か今日は物理の課題も出てたはずだ。物理前世のときから苦手なんだよねぇ。時間がかかる課題だから出来れば早いところ手を付けてしまいたい。どうするかと、悶々と悩んでいると聞きなれない声が横から聞こえてきた。…若干の笑いも含みながら。

「お水、おかわりいかがですか?…あと、すごい眉間に皺寄ってるけど大丈夫ですか?」
「お水お願いします。いや、えーっと…ここって勉強しちゃまずい、ですよね?」

思わず声を潜めて爽やか店員さんに声をかけてしまう。キョトンとした表情を浮かべている店員さんを見上げ、やっぱりだめかと落胆する。老舗喫茶店でやっぱり勉強ってまずいよねぇ、お客さんも数人いるし。

「いいですよ」
「やっぱりだめ…、はえ?」
「問題ないですよ。今は見ての通り満席じゃないし、静かに勉強してくれるなら」

しーっ、と茶目っ気たっぷりに人差し指を立てウィンクする爽やか店員さんに口元が引きつる。有り難いけど、けど、いや何も言うまい勉強を許可してくれた気のいい店員さんだ、うん。

「それ、蘭さんのノートですよね?」
「あ、はい。毛利のです、けど…」
「帝丹高校の制服を着ていない君が何故、蘭さんのノートを持っているのか。この辺の高校の制服じゃない、少なくとも都内の高校じゃないね、転校してきたとかかな?それで、君は蘭さんに授業のノートを借りたが何かの理由で今日中に返さなければならなくなった。しかし、毛利探偵事務所兼自宅は不在。だからここで時間つぶしを考えていたが、今の時間の間に君自身の課題も済ませておこうと考えた。…合ってるかな?」

突然怒涛のごとく喋りだした爽やか店員さんに更に口元が引きつる。合ってる、全部合ってるのが逆に怖い。何この人。どっからどこまで見てたのさ。

「あって、ます…」
「ああ、そんな身構えないでね。これでも毛利先生の弟子で僕も探偵をしているんですよ」
「あ、そうですか…はは」

いや、構えるなって無理だよね。これだけ言い当てられるとこの店員さんただの爽やか店員さんじゃない気がしてならない。

「蘭さんにノート返すのが目的なら僕の方から渡しておきましょうか?このままクローズまで働くので返しておきますよ?」

爽やか店員さんの手が毛利のノートを指差す。確かに、この店員さんが本当に毛利のお父さんの弟子で顔見知りならノート渡してても問題はないんだろう。…まぁ、毛利探偵事務所の下にある喫茶店の店員だし嘘ついてるとは思わないけど、なぁ。

「いや、俺自分で返すんで大丈夫です」
「…毛利先生の弟子なのは本当だよ?」
「いや、疑ってはないんですけど。俺が毛利に借りたノートなんで、お礼も言って返したいですし」

へらりと、拒否を示せばぱちくりと青灰色の目を瞬かせ、その目尻を和らげた。もう話す気はないですよーと意志を示すついでに物理の教科書とノートを広げる。目の前に広がる幾何学模様と言っても遜色ない文字列に辟易としながらシャープペンシルを握りしめた。

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目の前に羅列された幾何学模様をなぞり、式を書き連ねては答えにたどり着かずゴシゴシと消しゴムで黒を消し去る。その動作を何度か繰り返しているうちに集中力が切れてしまった。久方ぶりに上げた視界の先には、何故か頬杖をついてにこにこ笑顔を浮かべる爽やか店員さんの姿がある。…一体この人いつからいたんだ。

「…えーと、」
「ああ、君以外にお客さんいないから気にしなくていいよ。ちなみに僕がここに座ったのは10分程前。なかなか集中してたね」
「ソウデスカ」

いやいやいや、俺の他に客がいなくなったからって目の前に座る?普通?いや、座らないだろう。なぜ、座ったしこの人。爽やか店員さんに対する困惑がぐるぐると脳内をループする。てか、今何時。スマホを探そうとカバンを漁れば6時半だよ、との言葉が、あ、さいですか。

「これね、もう少し前の公式使ったら解けるよ」
「ん?」
「さっきから君が頑張ってた問題。困ってるみたいだから良かったら教えようか?」
「いいんですか!?」

爽やか店員さんがにっこりと微笑めば後光が指しているかのように見える。心の中で怖いとか言ってすみません。教えてくれるならそれに縋りつこうと教えを請おた俺は悪くないはずだ。

結局懇切丁寧に教えてもらいその日の課題を毛利が帰ってくるまでに終えられたのはもう少しあとの話だ。…その時もそろそろ蘭さん帰ってくると思いますよ、とか言ってた爽やか店員さんに戦慄したのは内緒である。なんだろ、いっその事盗聴器仕込んでますて言ってくれたほうが説得力ある。

「また何かわからなくなったらラインしてくれてもいいよ。これ僕のIDね」
「え、いや、別にいらな…」
「はい。カバン入れときますよ」

問答無用でカバンの中に突っ込まれた、喫茶店ポアロの名刺の裏に書かれた本人の几帳面さを滲ませるような文字が並ぶカード。…これあの時隣にいたOLさんにあげたらめっちゃ喜ばれそうだけど。なんで俺にくれるんだこの人。

……謎は深まるばかりである。

「そういえば、僕は安室透といいます。よろしくお願いします、夜守かなめくん?」

…俺名乗った覚えもないんだけど。爽やかな笑顔の裏側で連絡してこないとわかってんだろうなぁ、あぁん?と言ってる気がする。やっぱり怖い、この人。



…………………………

かなめ母が元公安。それ経由の知り合い。
もちろん母も安室もかなめ自身には伝えてない。守秘義務ゆえ、かなめも母の職業は警察官だと最近知った。
安室がかなめに興味を持つ。ラインIDは安室さんのもの。複数持ってそう(妄想)
かなめ母の子供ってどんなやつだ?→すごい警戒されてる(笑)→でもほだされてない?この子(笑)→でもやっぱり子猫みたいに警戒してる(笑)
いじりすぎてかなめに警戒される安室さん、この場合は降谷さん?
原作ではきっとこんなボロを出す方ではないと思うのですが…、楽しかったです(笑)


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