2回目のバレンタイン。
深夜遅くまで、いやもはや朝まで新曲のダンス練習に励んでいた彼が、帰宅してひと眠りしたあと一緒にゆっくり食べようと思って買っておいたこのチョコレート。
去年は付き合いたてだったのと、私が少し天邪鬼だったせいで
会う前にコンビニで買った適当なチョコをあげた。
それでも喜んでくれた姿に胸が痛み、今年は自分チョコに命を懸けている同僚に付き合って、購入するのに1時間も並んだ逸品。
店内の温度が下がってはいけないと、1度に数人しか入れないから、このクソ寒い中外で待ったんだ。
なのにだ。なのに。
私より先に、メンバー手作りチョコレート♡とかある?
インスタに挙げられた少しあとに
『これ手作り!すごくない?!』
とLINEを寄越してきた。
いやいや、普通彼女が家でチョコ作って待ってるかもとか思わない?いや思わないよね。
去年がアレだし、そもそも家で待ってるとは思わないか。
朝まで仕事だとわかっていたから、わざわざ有給取ってきたのにさ。
まぁ言ってないから仕方ないんだけど。
というかそもそもスタッフさんからも貰うだろうし、事務所にも来たりしてるのかな。
そうなるとこのチョコレート要らなかったんじゃない?
彼も彼らもいつも全力で仕事に取り組んでいて、それでいてキラキラしているから、あまり素直に甘えたり弱音を吐いたりすることが出来ないままでいた。
もちろん元々の性格が可愛くないせいもある。
俺の彼女はクール系と言われてしまっているのが少し嫌で、もうちょっと素を出したり、可愛い彼女と言って貰えるように挽回したりしたいなんて、思ってしまったのが良くない。
なんだか無性に恥ずかしくなって、楽しそうでなにより。頑張ってね。と返事をして、彼の家を後にした。
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