Rezept


*5000hit 風邪をひいて珍しく甘えが出る左馬刻(タナカ様)

「なにやってんの」
「見てわかんねぇのかテメェは」
「踏んづけるわよ」
「やってみれるもんならやってみやがれ」

・・・・いらっときたので右足でぐりぐりと横たわる彼の腹部を軽く踏んづけた。
そもそも、何故私がここに来たのかといえばこいつから「熱が37.7℃ある」「来い」「冷蔵庫になんもねぇ」「薬もねぇ」「ポカリもねぇ」
とポコポコとラインを送りつけられたからだ。あんたは吉幾○かと心の中で突っ込みつつ恋人のよしみで、ないと言われたものを一通り購入し大荷物で家まで行くと玄関の所で布団に芋虫のように包まって転がっている 左馬刻様がいらっしゃったわけです。

「テメェ・・・それが病人に対する行動かよ 」
「病人がなんでこんな玄関先で転がってんのよ」
「あちぃんだよ」
「え、それで涼を求めて転がってるわけ?」

さっと首筋に触れると確かに熱い。いやいや、これ37.7℃の熱さじゃないでしょと思い体温計で測ってみると38℃を超えていた。・・・バカなのかなこの人。

「あの、まさかと思うけど 時期的にも、インフルエンザじゃないの?」
「・・・あぁ?俺様がインフルエンザなんざにかかるわけねぇだろうが」
「ちなみに。ワクチン打った?」
「打つわけねぇだろうが」
「このタコ!!重症化する前に病院行くよ!」

知っている方もいるだろうが、説明しておこう。ワクチンはインフルエンザにかからないようにするわけではない。発症・重篤化するのを防ぐためのものであるので皆さん毎年のインフルエンザワクチンの接種をお勧めいたします。

「・・・仕方ねぇじゃねぇかヤクザが病院になんか」
「寂雷さんならいいでしょ。まったく、さっき電話しといたから行くよ。」
ヨコハマからあそこまで行くのは正直遠いのだけれど仕方ない。
半ば強引ではあるが左馬刻を家から引っ張り出して車に乗せ、ウィダーゼリーとポカリを渡し後部座席に転がした。
「おい、ちょっと待ちやがれ名前、お前が運転すんのか」
「はぁ?他に誰が運転すんのよ」
「銃兎呼んでくれや」
「入間さんも仕事中でしょ。」
「死にたくねぇ」
「死なせないわよ。だから病院行くの。」

ヨコハマからシンジュクに向けて車を飛ばしている時後ろから何度か叫び声が聞こえていた。余程辛いらしい。何故こんなになるまで放っておいたのかこいつは。まったく。病院に着いた頃にはだいぶ憔悴しきっていた。
ふらふらの状態の彼を支えながら救急外来入口に向かうと寂雷さんがそこで待っていてくれた。・・・ほかの患者さんの対応もあるはずなのに。

「・・・・・・左馬刻くん、よく無事だったね(あの運転で)」
「今までいろんな修羅場潜ってきたが、今日ほど生きた心地がしねぇのは初めてだわ」


そのまま診察室に通されて診察を受ける。
血圧も測ってみたけど物凄く高い。脈も速い。
血圧アゲアゲじゃんとぼそっと言うと そうだな と覇気なく返されたのでかなり朦朧としているらしい。いつもなら つまんねぇこと言ってんじゃねぇぞ あぁん?!くらい言ってくるはずだ。

「ふむ。時期的にもインフルエンザかもしれないし検査しようか」

そう言うと先生は細長い綿棒を取り出した。・・・あぁ、これ。結構痛いんだよね。経験したことある人も多いでしょうが、インフルエンザの検査はこの長い綿棒を鼻に突っ込まれる。かなり奥まで。

「悪いが左馬刻くん。これを鼻に入れさせてもらうよ。」
「・・・・イヤだ。それだけは勘弁してくれや先生」
「いえ、先生。やっちゃってください」
「あぁ・・・?名前なにしやがんだ」

後ろから彼を羽交い締めにして抑えつける。熱で弱り切った左馬刻を制するのは赤子の手を捻るより簡単だった。「おごぉっ」だか「ぐぉおっ」だか文字で表すには難しい叫びが漏れていて心の中で南無三と唱えておいた。
その後水分が摂れてないこともあり、検査結果を待ちながら点滴を受けることになった。点滴の針は割と素直に受けていた左馬刻に偉いじゃん、と言うと「うるせぇ」と返された。ちょっと復活したのかな。
それでもぐったりして目を瞑りベッドに横たわる彼を見て8割型インフルエンザを確信した。呼吸も荒い。
子供を寝かしつけるように彼の頭を撫でた。

「(・・・寝てる、か)」

寝てなきゃ、こんな行為彼は甘んじない。されることはたまにある。少し乱雑にだけど。

少し、名残惜しく感じながらも途中で早退してきた職場へ連絡を入れなければと手をそっと離した。
「・・・やめんな」
「・・・え、起きてたの」

開かれた瞼から見える赤い双眸がゆらゆら揺らいでいる。
「なにそれー・・・今日は随分可愛いじゃない?」
「つめてぇからちょうどいいんだよ名前の手」
「私は冷えピタかいね」

・・・もうすっかり貴方の熱で温まってしまっているというのにね。なんて、思いながらも彼の御所望通り撫で続けた。心なしか表情が和らいでいる、気がする。


「・・・おう、名前入れや」
唐突になにを言うのかと思ったらぺろっと布団をめくり、ポンポンと同衾を促される。
「いや、ダメでしょ」
「あぁ?拒否んのかよ」
「病院だから。あといつ先生くるかわからないでしょ」
「ンなもん気にしてんじゃねぇぞ・・・」
「帰ったらしてあげるから。点滴終わるまで寝てなさいよ」
「ちっ・・・嘘だったら犯すぞ」
「はいはい、そのフラフラ状態で犯せるならどーぞ」

むすっとしながら私に入らせるつもりだった布団を閉じる左馬刻はまるで、というかまんま拗ねた子供だ。

しばらくして先生がやってきて、検査結果 インフルエンザはどの型も陰性だったのことでただの風邪であったらしく2日後には咳をしながらも左馬刻は普通に組に出ていた。
そして私は彼から風邪をうつされ3日寝込む結果となった。誠に腹立たしいので今すぐ添い寝しにこいと今ラインを送ったところだ。


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タナカ様リクありがとうございました!
(見計らった訳ではありませんが アップ時左馬刻様の誕生日でした)