望めよ腹上死
※寂雷先生の妹看護師
私も男性経験が豊富なわけではないので比較はできないが、彼の前戯は長いと思う。
膝立ちになって後ろから胸をふにふにとゆっくりと揉みしだきながら首筋にキスを落としていく。
腰や脚に形を確認するように手を滑らせていく。
それからお腹、というよりは子宮がある場所を愛おしそうに摩るものだから私の性欲が昂ぶる。エストロゲンとか過剰に分泌されてしまっているに違いない。
ちなみにここまで30分。まだ下には触れられていないし、下着も着けている。
もどかしくて、はしたないのを承知で触れてほしいという想いを込めて背後の彼に頭を預け、目で訴える。
毎度のことなので彼も何を伝えたいのかは分かっているらしい。けれど、
「まだ駄目だから。我慢して名前」
と、宥めるように唇を喰む。おあずけ、辛いなぁ。だってもう身体が知ってるから、この後彼からもらうものを。
40分経って、漸く下に触れられる。けれど、もちろん下着の上から割れ目をなぞるようにするだけ。
でも、でも、それだけで私はゾクゾクとしてしまう。
少し久々だったから身体がだいぶ敏感。快感に耐えられなくてガクッと膝立ちの姿勢が崩れ腰を落とす。
「ぅ、うー・・・」
「え、名前大丈夫?」
「素直に言うと無理」
「・・・じゃあ、やめようか?」
「え?!」
と言ったところで恥ずかしくなり口を手で押さえる。「やめようか?」だなんて、そんな言葉になんでやめてしまうのと物欲しそうにしてしまった。
どんな反応をされたのだろうと独歩の方を見ると普段の自信がないような彼の表情とは全然違う、にやりとして意地の悪そうな顔。
「なにがしたいの?俺名前のお願いならなんでも聞くよ」
「えっ・・・うぅ・・・」
「言えよ。言わなきゃ伝わらない。」
お願いを聞くと優しく言っていたのにそれは強制。私の義務だ。私は独歩に愛されなきゃいけない義務があるんだと、そう言われている気がした。
「続き、したい・・・です。」
「なんの」
「セックスの、続きがしたいです。」
「いいよ、他でもない名前のお願いだからな。」よしよし、と私の頭を撫でて甘やかす。・・・これで中を指で触ってくれるって抱いた安堵感も束の間。
・・・今日の彼はとことん意地が悪いらしい。
カチャカチャと音をさせてベルトを外した。 まさか指で慣らさずにそのまま挿入するつもりなのかと一瞬血の気が引く。
「はぁ、っしょ・・・と。」
まるで昼寝でもするかのように自然にベッドで仰臥位となる彼に疑問符。 え、え?と困惑しながら彼の服の袖を引っ張った。
「独歩・・・あの、」
「うん?・・・どうかした?俺の身体好きに使っていいよ。」
「え?!」
そこで気づく。「どうしたい?」とは聞かれたけれど「どうして欲しい?」とは聞かれていない。
そういえば彼は騎乗位がしたいとこの前から言っていたっけ。私が恥ずかしいし、重いからいやだと首を縦に振らなかったのでこのようにしたのか。
私がするには騎乗位でないと。
・・・自信なさげで、上司から叱責される機会が多い彼だけれどやはり医療機材を扱う会社に勤めているだけあって地頭はよく、頭の回転は速い。
(・・・私は、正常位の方が好きなんだけどなぁ)
と思いつつ私も限界なので 。
横たわる独歩に稚拙なキスを落として、穿いているものをズラす。と、私が欲しかったそれが現れる。 うぅ、普段正常位で部屋も暗くして布団被ってしてるからあんまりまじまじと見ないけども、男性の陰茎とはグロテスク。いや、職場だと毎日のように見てる。けれど職場で見ているものは皆元気がないというか萎びている(失礼極まりない)。担当してる病棟的にもご老人が多いから若い人の陰茎を見る機会は少ない。
こんなものがいつも私の中に入ってくるんだから凄いなぁ。
自身の下着も取り払い彼に跨る。ちらっと彼の顔を見ると何故かポカンとしている。
「へ・・・えっと、なにか変だった?」
「んっ、いや、名前がそうしたいならいいんだが」
ここまで挑発しておいて私が引き退るとでも思っていたのかな。
先走りでぬるぬるとしている彼の陰茎を入口に充てがう。手が震えて手から2回くらいすり抜けてしまったが(そもそも力加減も分からないし)なんとかカリの部分まで入る。
・・・しんどい、騎乗位だと結構しんどいんだ。ここまででもだいぶ、痛い。
ゆっくり、ゆっくりと腰を落としていき彼の陰茎を咥え込んだいく。
(・・・いたっ・・・まだ、全部入ってないのに)
痛みに顔をしかめ、じわりと涙が滲む。独歩が私の頬に手を伸ばす。
「・・・痛くないか?」
「いっ!痛いわよ!物凄く!!騎乗位すごく辛いんだよ・・・!」
「いや、騎乗位だからじゃなくて。充分濡れてないからだろ」
「へ・・・」
「自分で慣らすかなと思ったんだが、そのまま挿れるものだからさっき吃驚してた」
それでさっきあんな表情してたのかなんて納得いった。
どうしよう、ここまで入っちゃったし抜くのも痛そうだし。それにえっちしたい。
「ごめん、苛めすぎた」
刹那、電気が走ったような感覚。陰核を指で舐めあげられるように触れられる。
ぅぅ、・・・そこ、弱いんだって。
独歩は私の身体の弱いところ、知ってるんだなぁ。
快感にうっかり腰をがくりと落とさないように上半身を倒して彼にしがみつく。
右手で陰核を弄り続けながら空いてる左手が私を離すまいと、頭を差し押さえる。
徐々に湿潤が増していく。ぬるぬるとして彼の陰茎をまたゆっくりと飲み込んでいく。
全部入ったのが分かりゆっくりと上半身を起こす。彼の顔がよく見える。ふんわりと柔らかい笑みを浮かべて私の姿を見ている。
「お願い、電気、消させて・・・繋がってるの見える恥ずかしいから。」
「可愛いなぁ、名前・・・いいよ」
ベッドサイドに置いてあるリモコンで照明を落とす。
ぎこちなく腰を動かし始めると独歩から「うぅ、」という快感を感じているような声が漏れる。
(・・・この動きでいいのかな)
動く度にぎしぎしとベッドのスプリングが鳴く。
ん?・・・あ、もしかして、
「どっ、ぽ・・・重い?」
恐る恐る聞いてみる。やばい、重くて「うぅ、」って言ってたかもしれない。
そう思い始めると冷や汗。
「・・・全然?俺が貧弱そうに見えるからそう思わせちゃったか・・・?ごめん、俺のせいで名前を不安にさせてしまった・・・俺のせいで、俺の、せいで、本当にごめん」
あ、しまった。スイッチを入れてしまった。
お願いだから挿入中に超弩級ネガティブモードに突入するのはやめてほしい。
私だって気持ちよく逝きたい。
こうなれば私が頑張るしかない。
ぎゅっと目を強く閉じてなるべく速く腰を上下させる。もう呼吸も忘れてしまっているんじゃないかってくらいに激しく。
「あっ・・・ぐぅっ!名前、激しい」
ネガティブなこともなにもかも忘れてセックスのときは私に集中してもらえればそれでいい、私だけ見ててほしいとそう思いながらがむしゃらに腰を振りそして、私は意識を失った。
ぺちぺちと頬に走る刺激に意識が戻ってくる。
「・・・はっ!」
「よかった、気づいた?」
安堵の表情を浮かべる独歩に本気で心配してくれていたのだろうなと思うときゅんとした。
・・・気を失った原因はなんとなく判る。酸欠だ。多分あのとき本当に呼吸を忘れていた。
「どれくらい気失ってた・・・?」
「うーん、10分くらいか。唸ってはいたから死んでないとは思っていたけれど全然起きないから救急車を呼ぶか迷った。」
セックスしてて気を失って救急車を呼ばれるなんて街を出歩けなくなるから呼ばれる前に目覚めてよかったと本気で思った。
それに・・・きっとここで救急車で運ばれたら確実に新宿中央病院、つまりは職場だ。
「お兄今日当直だったしバレたらヤバかったなぁ・・・」
「そういえば、先生にまだ言ってないの?」
「うん、言ったら独歩も病院行き辛いと思って。」
そもそも患者兼取引先の彼を私が一目惚れして押し倒して半ば強引にお付き合いしたなんてお兄に知れたら流石の仏(お兄)も不動明王化するに違いない。
ちらっと彼の下半身を見ると落ち着きを取り戻していた。
私も天国を見たし(本当の意味で)今日は良しとしようかな。
Tシャツだけ着て再び布団というか、彼の腕の中に戻る。
「名前、1つだけ言っておくけど」
「うん、」
「電気消しても今日月明かりが明るいからしっかり結合部見えて、すげぇ興奮した。」
おやすみ、と額にキスを落とされて彼は眠る。私はと言うと死にたさで徐々に顔に熱が集まりもう二度と騎乗位なんてしないと誓い枕に顔を押し付けて叫んだ。
アーーーッ!!もう!死にたい死にたい!いっそ殺して!