星屑と観覧車


※5000hit 独歩と喧嘩後仲直り(こはる様)


「はぁ」

溜息をつくと、息が白くなる。
キラキラと光る街の光は、とても綺麗に見えた。
観覧車から眺める夜の街にどれくらいの人がいるのだろうか。コツン、とガラスに頭を預けて外の景色を眺める。
この観覧車に私は1人。

すん、と鼻をすする。まだちょっと鼻が詰まってる。さっきまで泣いてたから目がまだ少し熱い。
手元のスマホを見ると着信とLINEの通知が大量に入っている。しっかり見なくても分かる。書いてあるのも、きっと言われるであろう言葉も「ごめん」なんだ。
そんな言葉、全然欲しくなんてないのに。
私が欲しい言葉は、そんなんじゃないんだよ独歩。

高く高く観覧車で上がっても、星は手に届きそうもない。冬の空って、なんでこんなにも星が綺麗なんだろう。
はぁ、と、星に手を伸ばしながら息を吐く。寒い、寒い寒空。
輝く三連星オリオン座、その中でも一際輝くリゲル。

よく、彼の部屋のベランダからも見ていた。星にあまり詳しくはないけれどオリオン座だけは覚えやすくて、オリオン座を探していた。そんな私の横で彼は煙草を吸っていた。
その時の彼の横顔が、私は大好きだった。

なんで、あの時我儘を言っちゃったんだろ。分かってたのにな、彼が忙しいことくらい。
でも、でもね、ちょっと今回のデート楽しみだったの。ずっと行きたかったんだものプラネタリウム。
仕事の休みがあんまり合わないからデートなんてそうそう行けないし、やっと合わせた日だったの。
そんな理由もあって、我儘言っちゃったのかな・・・私。

我儘に困って謝り倒す独歩に 「もういいよ」なんて吐いて家を出てきてしまった。それから私いつのまにか観覧車のゴンドラに乗っていた。

あぁ、でもそれももうすぐ終わる。

下に着くとゴンドラはひとりでに開き、私は降りた。
足を地に下ろすと水面に波紋が広がった。その水面は満天の星空を写して、鏡のようで。
あぁ、行かなきゃ。夜が明けてしまう前に。

刹那、手首を掴まれる。振り向くとそこにいたのは彼で。
・・・ねぇ、分かんないよ。聞こえない。何を言ってるのか、分からないの。

あれ・・・?私、そもそもどこに行こうとしていたんだっけ
ぐいぐいと必死に私の腕を引かれついに私は引き戻され、彼の腕に収まる。

「行くな」

あぁ。やっと、聞こえた 貴方の声。あったかいなぁ。貴方の腕の中ってすごく温かい。

だんだんと明るくなる辺り。遠くの方に小舟を漕ぐ老人の姿が見える。

あぁ、カロン、御免なさいね、私今手持ちもないみたいだしそちらには行けないみたい。

ねぇ、もうすぐ夜が明けるね。




「ん・・・」

ふわふわした頭と反対に重たい身体。
いやいや、なんだこれは、重症患者状態じゃないか。点滴繋がってるし、なんかモニターついてるし。え、身体中痛いし骨、折れてるんじゃ?
というか、ここ病院なの?

私の頭は割と冷静だった。冷静な私は、ナースコールをぽちっと押した。
すると暫くして「はぁい、どうされました?」なんて呑気にナースがカーテンを開ける。

あの、と声をかけようとした途端 ナースがお化けでも見たかのような表情で「ド、ドクター呼んできます!!!!」と慌てて飛び出して行った。
もう暫くしてドタドタと数人かの足音が聞こえてきて、再びカーテンを開けられる。

「あ、寂雷先生」
「名前さん!?ここが何処だか分かるかい?!」
「え・・・、先生がいるなら、新宿中央病院・・・では」
「そう、だね。うん、よかった。ちょっとごめんね。」
そう言うとペンライトで瞳孔確認されたり聴診器をいろいろと当てられたり脈を測られたりととにかくいろいろされた。

「っ・・・はぁー、本当によかったよ。あとは骨折の治癒だけかな。」
「あの、先生?私なにがあったの」
「憶えてないかな・・・車と衝突事故を起こしたんだよ。」

先生の話によると、私はマンションを飛び出してすぐのところで車とぶつかったらしく。私のことを追い掛けてきた独歩にすぐに救急車を呼ばれ一命を取り留めたらしい。

「そう言えば、独歩は・・・」
「うん?気づかなかったかい?」

そこ、とベッド脇を指差されそちらを見るとソファの上で眠っているのは独歩だった。なんだかいつも以上に顔色が悪いような。

「名前さん内臓いくつかダメージ受けてたのもあってかなり失血量が多くてね。輸血量足りなかったんだ。そしたら独歩くんが、血を提供してくれてね。」
「え!内臓?!いくつか・・・?!やばっ・・・。う、ん、そっか、独歩血・・・くれたんだ。喧嘩して出てきちゃったのに。」
「ふふ、『俺の血全部使ってくれてもいいので助けて下さい』って土下座されてしまってね。」
「・・・なんじゃそりゃ・・・」

なにそれ、そんなの物凄く愛されてるじゃないか。

「ねぇ、先生。」
「なにかな」
「・・・内臓いくつか、って言ってたけど。子宮とか、大丈夫?」




先生が部屋を去ってから暫くして、ベッドから身を乗り出してソファにいる独歩の身体にちょいちょいと頑張って手を伸ばし触れる。なにせ脚が折れているものだからベッドから降りれないからね。こうするしかない。

「おーい、起きろ寝坊助〜」
「ぅ、ん・・・?!は、名前?!」


普段寝起きが悪い彼の過去最高の寝起きの速さを見た。が、どうやら相当私のために血を提供したらしく貧血でクラクラしている。
そんな状態で私のベッドに近寄る。
「よかった、本当に・・・よかった。ごめん、本当にごめん俺のせいで。こんなことになってしまって、全部俺のせいだ。」
「そんなことない、私が悪いもん」
「違う、俺のせいだ。ごめんな、本当に、名前を不幸にしてばかりだ!俺、名前の傍にいる資格なんて」
「子供作れるってさ。」
「へ、子供・・・?」
「うん、先生が赤ちゃんは子宮なんともないから作れるよってさ。」
「そ、そうか。・・・良かった」
「だから作って。」
「え?」
「ずっと、私の傍にいて?」

だって、行くなって言ったのは貴方でしょう?

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こはる様、この度はリクエストありがとうございました!
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ほんとありがとうございました!