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通っていた高校の教室の窓の外から、突如差し込んできた緑色の光がいっぱいに広がった瞬間ブラックアウトした視界に、瑠奈は唐突に前世の業の呵責を受け始めたのかと思った。
突然の金縛りと視界の暗転、そしてそれがなかなか終わらないのだから拷問かと思うのも無理のない事だった。
しばらく待ってみても身動きひとつ、どころか呼吸のひとつも許されない。どうやら私の生命活動すら封じた上で死なないように手を入れ、活動という活動全てを禁じるという責め苦を味わわせたいほど恨みを持つものが居るらしい。
「(たしかに前世で手にかけた人たちはそのくらい恨んでるかもしれないけど)」
では一体誰が? とどのくらい待ってみても解かれない状態に、暇を持て余して容疑者の洗い出しをしてみるも候補者が多すぎて途中で考えるのをやめた。ハンター世界で念能力者として生きてきた身からすれば、人も人外も等しく命を奪い合ってきたのだ。当時の私の最期だってやばい進化を遂げた蟻によって齎されたものだ。
そんなことを考えていると一瞬意識を闇に飲まれた。眠りに落ちるように意識が落ちそうになったのだ。しかしこの無限とも思える時間があるなら、しかもその時間を休息や補給に取られず活用できるというのならば勿体ないので死が訪れるまで修行をしようと思い至った。念能力者は腐ろうが死のうが生まれ直そうが念能力者なのである。
もし本当に無限に修行ができるとすれば、素質がモノをいっていた前世で叶わなかった相手より強くなれるということだ。もしかすればあのネテロ会長や蟻の王にさえ並び立つまでになれるやもしれない。
そうして生命エネルギーを薄く体の周囲に伸ばして円を広げるうちに、円を使えば範囲内だが外の様子が分かる。周囲にはオーラ――生物の生体反応は感じられない。が、近い範囲……それも先ほどまで人間がいた場所に人間大の無機物が存在している。かくいう自分自身も同じような状態らしい。オーラが出るだけ生きてはいるのだろうけれど。
この人たちも何かしらの前世の業で呵責を受けているわけでない限り、これは私一人を狙ったものではないだろう。
そこから思考を続けながらオーラの総量を増やす修行や円の範囲拡大などをして過ごすも、一向にこの状態は解除されない。生身であればとっくに脱水・餓死しているような時間が経っているのにその様子もない。
延々と修行するという人間の限界を超えたやり方をやってやれるのであれば、やらない念能力者はいないのである。
そうして過ごすこと一体どのくらいの時間が経ったのか。たまに意識が飛ぶので正確にはわからないが、オーラの切れる量とタイミングから甘く試算して1500年という頃。驚くことにそれだけの時間を過ごしてなお、命尽きる様子もない。
最初はこれが俗にいう5億年ボタン的なサムシングかあ、とも考えたが、しかし目で見えず五感で何も感じられなくとも円を広げれば外の様子は知覚できるのである。数年の修行で円の半径を数倍に底上げした結果、建物外で天気の変化があることが分かったためどうやら外界の時間は進んでいるらしい。
さらにおそらくではあるが思考が可能であること、修行によってオーラ(念)の成長が可能であるため少なくとも精神時間も止まっていないこと。そして肉体は体の外側、外殻の様子のままであればそこだけが物理的に停止している。意識あるコールドスリープのようなものかもしれない。望んでいないが。
しかしながら1500年文字通りノンストップで修行できたということは。
「これ、ネテロ会長超えたかもしれんな……」
資質によって伸びしろが大きく左右される念能力と言えど、これだけ鍛錬を積めたのだ。資質が少しあったくらいの私だって時間を積み重ねれば並び立てるはずである。
そうして時間が許す限り修行を続行した結果、膨大なオーラと広大な円を長時間持続できる鍛錬の化け物が3700年後の世界で一番初めに目覚めることとなる。
突然の金縛りと視界の暗転、そしてそれがなかなか終わらないのだから拷問かと思うのも無理のない事だった。
しばらく待ってみても身動きひとつ、どころか呼吸のひとつも許されない。どうやら私の生命活動すら封じた上で死なないように手を入れ、活動という活動全てを禁じるという責め苦を味わわせたいほど恨みを持つものが居るらしい。
「(たしかに前世で手にかけた人たちはそのくらい恨んでるかもしれないけど)」
では一体誰が? とどのくらい待ってみても解かれない状態に、暇を持て余して容疑者の洗い出しをしてみるも候補者が多すぎて途中で考えるのをやめた。ハンター世界で念能力者として生きてきた身からすれば、人も人外も等しく命を奪い合ってきたのだ。当時の私の最期だってやばい進化を遂げた蟻によって齎されたものだ。
そんなことを考えていると一瞬意識を闇に飲まれた。眠りに落ちるように意識が落ちそうになったのだ。しかしこの無限とも思える時間があるなら、しかもその時間を休息や補給に取られず活用できるというのならば勿体ないので死が訪れるまで修行をしようと思い至った。念能力者は腐ろうが死のうが生まれ直そうが念能力者なのである。
もし本当に無限に修行ができるとすれば、素質がモノをいっていた前世で叶わなかった相手より強くなれるということだ。もしかすればあのネテロ会長や蟻の王にさえ並び立つまでになれるやもしれない。
そうして生命エネルギーを薄く体の周囲に伸ばして円を広げるうちに、円を使えば範囲内だが外の様子が分かる。周囲にはオーラ――生物の生体反応は感じられない。が、近い範囲……それも先ほどまで人間がいた場所に人間大の無機物が存在している。かくいう自分自身も同じような状態らしい。オーラが出るだけ生きてはいるのだろうけれど。
この人たちも何かしらの前世の業で呵責を受けているわけでない限り、これは私一人を狙ったものではないだろう。
そこから思考を続けながらオーラの総量を増やす修行や円の範囲拡大などをして過ごすも、一向にこの状態は解除されない。生身であればとっくに脱水・餓死しているような時間が経っているのにその様子もない。
延々と修行するという人間の限界を超えたやり方をやってやれるのであれば、やらない念能力者はいないのである。
そうして過ごすこと一体どのくらいの時間が経ったのか。たまに意識が飛ぶので正確にはわからないが、オーラの切れる量とタイミングから甘く試算して1500年という頃。驚くことにそれだけの時間を過ごしてなお、命尽きる様子もない。
最初はこれが俗にいう5億年ボタン的なサムシングかあ、とも考えたが、しかし目で見えず五感で何も感じられなくとも円を広げれば外の様子は知覚できるのである。数年の修行で円の半径を数倍に底上げした結果、建物外で天気の変化があることが分かったためどうやら外界の時間は進んでいるらしい。
さらにおそらくではあるが思考が可能であること、修行によってオーラ(念)の成長が可能であるため少なくとも精神時間も止まっていないこと。そして肉体は体の外側、外殻の様子のままであればそこだけが物理的に停止している。意識あるコールドスリープのようなものかもしれない。望んでいないが。
しかしながら1500年文字通りノンストップで修行できたということは。
「これ、ネテロ会長超えたかもしれんな……」
資質によって伸びしろが大きく左右される念能力と言えど、これだけ鍛錬を積めたのだ。資質が少しあったくらいの私だって時間を積み重ねれば並び立てるはずである。
そうして時間が許す限り修行を続行した結果、膨大なオーラと広大な円を長時間持続できる鍛錬の化け物が3700年後の世界で一番初めに目覚めることとなる。