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念能力とはつまるところ使用者本人の生命エネルギーである。
そのためある意味命あるもの全てに扱う素質があると言っても過言ではない。が、その生命エネルギーを知覚し、コントロール下に置くことがまず難所であり、さらに言えばその難所を超えられない=死に繋がる。
長い年月をかければ命の危機なく開花させることも可能らしいが、実際死ぬのが早いか開花が早いかレベルなので論外であると瑠奈は考えている。

「……ん。ん?」

彼女はまだ知る由もないが、石化解除に必要なのはエネルギーを消費し続けて石の中のなにがしかを減らし続け、そこにとどめとなる硝酸、もしくはナイタール溶液を用いて構造を緩めてやることなのだが、念能力者である彼女は純粋に莫大なエネルギーを消費し続けた結果、何の手助けもなく素で石を劣化に追い込んだのである。
その脅威に震える少年も未だ目覚めやらぬ冬の終わりに、彼女は3700年後の世界へと唐突に覚醒したのである。

「私が具現化系能力者じゃなかったら詰ん……ではいなかっただろうけど。不便だっ……たこともないか。念あるしな」

能力者の中でも生命エネルギーであるオーラを実体として具現化させるタイプの能力者であり、彼女の精神帯スピリチュアル・リボンと呼んでいるオーラで作られた帯は斬撃・銃撃に強くそれ自身が刃として機能する。
暇すぎて能力を何度か構想し直した瑠奈だったが、やはり使い勝手もよく何より消費エネルギーが省エネで済むコスパの良さから前世と同じ能力を獲得した。
その昔前世では「器用貧乏……♢」「発想は良いのに才能ないよねお前」「そんな申し訳程度の他人の治癒能力必要だったかな?」と知り合いたちに散々な酷評を受けた能力だが、酷評した者たちでさえただ一点、彼女自身の継戦能力だけは随一だと認めざるを得ない様子だった。
私は前世にて己のヒエラルキーの立ち位置を痛感させられていたわけだが、それでも死なないことに定評はあったのだ。
そんな私が、体感少なくとも余裕で2500年以上経って人の気配が全くない世界にたった一人といえど、簡単に死ぬわけがないのである。

「ま、何故か当然のように念を扱う突然変異の蟻に数の暴力でぶち殺されてはいるんだけど……」

まさかここに念を扱う動物はいないよなぁ? と若干のトラウマを刺激され独り言ちつつ、体に帯を巻き付けて復帰現代人第一号として雪の残る東北地方と思しき場所から南下を始めるのであった。

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