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謎の緑色の光線によって石化して3700年、暗闇で意識だけが漂う中時間だけを延々と数え続けてようやく自由の身となった訳だが。起きてすぐ目に入ったのは何かを食いながら俺を観察する女だった。
互いに何も言わず動かず、ただ視線を交わらせて数瞬時を止めた。危うくカウントした秒数を忘れるほど驚いた。
が、今はそれよりもこの謎現象を解明するためにもこの石片は保管しておかなくてはならない。
そこで暇してる女も使って見ていた状況を聞き取り、とりあえず現場はできる限り再現して保存した。
少しだけ交わした言葉から、彼女がただの阿呆では無いと分かる。現代医療に近い知識もあることから現代からの復活者のはずだ。
初対面で指図を受けたにもかかわらず文句ひとつ言わずやることを手伝ってくれて、着る物さえ用意して、まるで自分のことを"待っていた"かのような扱い。
ちらと彼女を観察してみる。長いまっすぐの黒髪を無造作に流している。白い肌に狼のようなアンバーに近い瞳を縁取るやや下に向かって伸びる髪と同じ色の睫毛。着ているものは今しがた渡されたものと同じ鹿皮で、腰を材質不明の帯で絞っている。筋肉はまるで付いていないように見えるが1人だという言葉を信じるならば、彼女が2人分の衣服と靴、皮袋分までの鹿を狩って捌き皮を舐めしたということである。まあ今彼女が啜っている汁物もどうやら鹿肉を煮たものらしい。
「ま、これどうぞ。起き抜けでしょ?」
「助かる」
水の入った竹筒を渡され、汁物をよそった木の椀を勧められる。文明リセットから1年で余裕のある暮らししてるなこの女。
勧められたままに口に運ぶと広がる旨味にきゅうと腹が鳴いた。ナニセ3700年ぶりの食事なのだ、そうでなくとも身体が色々と求めていた。
「文明消滅後に起き出してきて、こんな至れり尽くせりでスタートとは流石に思わなかったぜ」
「言うほど豊かでもないけどね」
軽く答える彼女の顔を見ると、それが謙遜でないことが分かった。
しかし千空は衣服は元より食べ物など生死に関わる事から始めるつもりだったのだ。現在が至れり尽くせりでなくてなんだと言うのか。
「俺はこっから拠点作って生活基盤整えたら早速謎の解明に乗り出す。瑠奈、お前はどうする?」
「私?」
んー…と特に深刻そうでもなく考えながら「温泉……」やら「綺麗な海……」やらどうやら行きたい場所を考えているらしい彼女の様子を見て、千空はスルッと口を挟んだ。彼女ならある程度の提案をすれば頷いてくれるだろうと根拠なく思ったのだ。
「あ"ー、温泉は早い段階で後々行く予定があるし、綺麗な海も設備が整えば楽に見に行けるようになるぞ」
「そうなの? 代わりに何を望んでるの?」
「話が早くておありがてぇ。序盤も序盤の今、足場の生活基盤整える手伝いが欲しい。分かりやすく言えば肉体労働だな。俺は体力がねぇ」
「ふぅん? いいよ」
随分あっさり頷きやがるな……と思っていた千空が、瑠奈の隠していた訳でもない秘密の能力 を知って大興奮の後その可能性を思い至り一転してゾッと背筋を凍らせるまで1時間ほどである。
互いに何も言わず動かず、ただ視線を交わらせて数瞬時を止めた。危うくカウントした秒数を忘れるほど驚いた。
が、今はそれよりもこの謎現象を解明するためにもこの石片は保管しておかなくてはならない。
そこで暇してる女も使って見ていた状況を聞き取り、とりあえず現場はできる限り再現して保存した。
少しだけ交わした言葉から、彼女がただの阿呆では無いと分かる。現代医療に近い知識もあることから現代からの復活者のはずだ。
初対面で指図を受けたにもかかわらず文句ひとつ言わずやることを手伝ってくれて、着る物さえ用意して、まるで自分のことを"待っていた"かのような扱い。
ちらと彼女を観察してみる。長いまっすぐの黒髪を無造作に流している。白い肌に狼のようなアンバーに近い瞳を縁取るやや下に向かって伸びる髪と同じ色の睫毛。着ているものは今しがた渡されたものと同じ鹿皮で、腰を材質不明の帯で絞っている。筋肉はまるで付いていないように見えるが1人だという言葉を信じるならば、彼女が2人分の衣服と靴、皮袋分までの鹿を狩って捌き皮を舐めしたということである。まあ今彼女が啜っている汁物もどうやら鹿肉を煮たものらしい。
「ま、これどうぞ。起き抜けでしょ?」
「助かる」
水の入った竹筒を渡され、汁物をよそった木の椀を勧められる。文明リセットから1年で余裕のある暮らししてるなこの女。
勧められたままに口に運ぶと広がる旨味にきゅうと腹が鳴いた。ナニセ3700年ぶりの食事なのだ、そうでなくとも身体が色々と求めていた。
「文明消滅後に起き出してきて、こんな至れり尽くせりでスタートとは流石に思わなかったぜ」
「言うほど豊かでもないけどね」
軽く答える彼女の顔を見ると、それが謙遜でないことが分かった。
しかし千空は衣服は元より食べ物など生死に関わる事から始めるつもりだったのだ。現在が至れり尽くせりでなくてなんだと言うのか。
「俺はこっから拠点作って生活基盤整えたら早速謎の解明に乗り出す。瑠奈、お前はどうする?」
「私?」
んー…と特に深刻そうでもなく考えながら「温泉……」やら「綺麗な海……」やらどうやら行きたい場所を考えているらしい彼女の様子を見て、千空はスルッと口を挟んだ。彼女ならある程度の提案をすれば頷いてくれるだろうと根拠なく思ったのだ。
「あ"ー、温泉は早い段階で後々行く予定があるし、綺麗な海も設備が整えば楽に見に行けるようになるぞ」
「そうなの? 代わりに何を望んでるの?」
「話が早くておありがてぇ。序盤も序盤の今、足場の生活基盤整える手伝いが欲しい。分かりやすく言えば肉体労働だな。俺は体力がねぇ」
「ふぅん? いいよ」
随分あっさり頷きやがるな……と思っていた千空が、瑠奈の隠していた訳でもない