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千空が目標としていた拠点作成を手伝うにあたり、面倒なので念能力について開示と説明をしたときファンタジーにファンタジーを重ねるなと文句を言われたものの、比較的すぐに受け入れられた。
初めは話をかみ砕くのも難儀そうな顔をしていたが、途中から開き直って利用していく方向に舵を切ったようだ。まあ元々念能力は超能力なんかのファンタジーとは違って根拠も再現性もある、ある種のエネルギー論である。生命エネルギーという名の。

「一旦証明も分析もできねぇことは置いておくが、復興後お前のそのエネルギー論だの念だのは絶対に研究すっからな」
「おっけー」
「軽いなオイ。逃げんなよ」
「逃げないよ。私もはっきり数値にして理解はしてないからどんなもんなのかは気になるしね」

技術が普及後に実験体になる約束を、特にやることもないしと安請け合いしておく。
千空はどうにも信用ならないようで何度か「逃げるなよ」「約束……いや予約だからなこれは」と念押ししてきた。もし手元に紙とペンがあれば誓約書を書かされていたかもしれない。一体どんな人体実験をされてしまうというのか。悪そうな表情を作って見せているものの、たかだか20年も生きていない少年が偽悪的に振舞ってもかわいく見えてくるものだ。
純然たる力の差でどうあがいても私に酷いことはできないだろう彼の実験体になることは何でもないことなので、本当に嘘偽りなく本心から受け入れて了承していた瑠奈だった。

「ったくマジで石器時代をカッ飛ばしてるな……」
「でも結局は鉄器どころか青銅器すらないから文明レベルは石器・土器じゃない?」
「こんな……汁モンの調理に出汁とる余裕見せといて石器時代舐めんなよ」
「何目線で怒られてんの私?」
「美味ぇって言ってんだよ」
「ふうん? どーも」

二人仲良く(私が)木を伐採して(千空が設計した)ツリーハウスを早々に作り上げ、肉・魚は私が、その他野菜キノコ類は千空が担当して採集することで目覚めて一日目にして千空曰く不自由ない暮らしを始めていた。
栄養バランスは流石に私でもわかるので、どうにかビタミンを取らないとな……と考えていたところを千空がカバーしてくれた。

「実際、俺一人じゃ火を起こす事もできず一日を終えてただろうからな」
「ああ、まあ……あの体力じゃあねえ……」
「憐みの目をやめろ……」

今は二人で焚火を囲んで穏やかに食事をするという時間を過ごしているが、先ほどまでは地獄を見ていた。千空が。

「切り倒したあと丁寧に切り分けまでしておいたのに、木材の一本運ぶのに何時間かける気なんだってペースだったし……」
「丸太は普通手で運ぶモンじゃねーよ」
「ツリーハウスも95%は私が組み上げたし……」
「片手で丸太二本支えて作業してたもんなお前」
「火も私がつけたし」
「ありがとな、便利すぎるだろその帯」

だんだん私が何かを訴えているらしいと気づいた千空は、半眼で面倒くさそうにこちらに向き直った。

「で、功労者の瑠奈サマは何をご所望だ?」
「センクーも話が早くて助かるね。あのね」
「ああ」
「一緒に寝よう」
「断る」
「え〜? 褒賞でしょ〜?」

千空はすぐに顔をしかめてこちらを睨み、これ見よがしに溜息を吐く。

「お前、そういうタイプに見えなかったが性欲旺盛なのか? それとも惚れた腫れた系か?」
「酷い言いがかりだ。寒さに弱いタイプだよ」
「あァ……なら別にいいか」
「いいんだ」
「さっきの2タイプはめんどくせぇのが嫌なんだよ」
「安心して。私が欲しいのは心じゃなくて体温!」
「早いとこ電気発明し直さねぇとな……」

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