13
今朝はクラス委員長を決めるということで大いに盛り上がっている。誰も彼もが自分がやりたいと積極性を見せている。
その騒がしさをBGMに、私は次の行動を組み立てていた。
計画の前倒しはあったものの、今のところ首尾よくいってはいる。しかしそれは向こうの動きがほとんどなかったから水面下で動けていたというだけである。
今回初めて具体的なスパイ活動を任じられたわけで、私は今のところはまだ決定打の準備が出来ていないので敵対を気取らせる気はない。だからと言って素直に敵に塩を送るのも癪なのである。もう一つ言えば、将来の潔白のためにも、何があろうとも奴らのために手を汚すのは私の復讐心が許さない。
「(どう切り抜けようかしら。方法自体はたくさんあるけれど、謀反を疑われず、しかして手も染めず……)」
「月城、投票だぜー」
「あら、ぼうっとしていたわ。有難う、瀬呂君」
前の席の瀬呂が戻ってきていたのにも気付かないほど周りが見えていなかったとは。反省しつつ、あらかじめ記入しておいた投票用紙を投じて席へ戻る。その際斜め前の爆豪君から熱い視線を頂いたけれどにこりと笑顔で返した。
「だあああ! なんでデクに……! 誰が!!」
「まあおめーに入れるよかわかるけどよ」
「てめーか!?」
「ふふふ、ハズレ」
「じゃあ0票のてめーはいったい誰に、」
「ふふふふふ」
開票してみればなんと意外や意外、緑谷に票が3つ集まっていた。彼にそこまでの統率力は感じられなかったのだけれど。
次点で二票の八百万が副委員長、私の投票先だった飯田君は1票で私の票のみだったので誰かに入れたらしい。周囲に何がしたいんだと言われているけれど、彼のそういう判断と行動ができるところも委員長に相応しいと考えたのだけれど。
投票先はどいつだと噛みつく爆豪を笑顔で躱しながらお昼まで時間を過ごした。
「おいツラ貸せや」
「爆豪いい加減しつこいぞー」
「私の面はお高くてよ」
「言ってろ」
お昼はランチラッシュのご飯に舌鼓を打つ予定が、どうやら説明を求める彼の相手をしなくてはいけなくなってしまった。
爆豪が事あるごとに投票先について噛みついてきたものだから未だに噛みつき続けていると周囲には思われているし、彼もそれを否定せず教室を出た。上手いものである。彼は外見に似合わずとてもクレバーだ。
途中でお昼を買って日当たりの良い中庭に出た。人通りはまばらだが、奥まったところでこそこそ話すより堂々としている方が怪しまれないものである。
「で、まず何から説明しましょうか」
「投票先はどこだったんだよ」
「? あ、本当に気になっていたの? 飯田君よ」
「俺に借り作っといてかましてくれたなァ……」
「本当に委員長に向いていると思ったから投票したのよ。賄賂で投票されて、それでいいのかしら?」
「ケッ」
思いの外本当に気になっていたらしい投票先を開示すればピキピキと怒りをあらわにしたものの、納得はしてもらえたようだった。
やっと本題を、と口を開く前にけたたましい警報音とアナウンスが響く。窓から見てみれば食堂がパニックを起こした人でごった返している。
「ああ、このタイミングだったの……」
「あ? ボサっとしてんじゃ、」
「いいの、大丈夫よ。マスコミでしょうし」
「……どういうことだ」
「その件も含めて、放課後全部お話しするわ。覚悟はできて?」
「ハッ。舐めんな猫かぶり」
この”不測の事態”を通じて私が話そうとしていることの大きさや知る危うさをほのめかしてみたけれど、なんとも頼もしい返しだった。軽く返されたわけでもない。
私としては協力者が得られるから良いのだけれど。彼にとっては今日のような”誰にも何かわけのわからないこと”を手持ちの情報から推測して考える為の材料が増えるのだからまあ、メリットにならなくもないかしら。
「あ」
「あんだよ」
「これだけ人がごった返すのなら、スマホ、彼らの足元に投げておくだけで良かったわ……」
「ハッ」
その騒がしさをBGMに、私は次の行動を組み立てていた。
計画の前倒しはあったものの、今のところ首尾よくいってはいる。しかしそれは向こうの動きがほとんどなかったから水面下で動けていたというだけである。
今回初めて具体的なスパイ活動を任じられたわけで、私は今のところはまだ決定打の準備が出来ていないので敵対を気取らせる気はない。だからと言って素直に敵に塩を送るのも癪なのである。もう一つ言えば、将来の潔白のためにも、何があろうとも奴らのために手を汚すのは私の復讐心が許さない。
「(どう切り抜けようかしら。方法自体はたくさんあるけれど、謀反を疑われず、しかして手も染めず……)」
「月城、投票だぜー」
「あら、ぼうっとしていたわ。有難う、瀬呂君」
前の席の瀬呂が戻ってきていたのにも気付かないほど周りが見えていなかったとは。反省しつつ、あらかじめ記入しておいた投票用紙を投じて席へ戻る。その際斜め前の爆豪君から熱い視線を頂いたけれどにこりと笑顔で返した。
「だあああ! なんでデクに……! 誰が!!」
「まあおめーに入れるよかわかるけどよ」
「てめーか!?」
「ふふふ、ハズレ」
「じゃあ0票のてめーはいったい誰に、」
「ふふふふふ」
開票してみればなんと意外や意外、緑谷に票が3つ集まっていた。彼にそこまでの統率力は感じられなかったのだけれど。
次点で二票の八百万が副委員長、私の投票先だった飯田君は1票で私の票のみだったので誰かに入れたらしい。周囲に何がしたいんだと言われているけれど、彼のそういう判断と行動ができるところも委員長に相応しいと考えたのだけれど。
投票先はどいつだと噛みつく爆豪を笑顔で躱しながらお昼まで時間を過ごした。
「おいツラ貸せや」
「爆豪いい加減しつこいぞー」
「私の面はお高くてよ」
「言ってろ」
お昼はランチラッシュのご飯に舌鼓を打つ予定が、どうやら説明を求める彼の相手をしなくてはいけなくなってしまった。
爆豪が事あるごとに投票先について噛みついてきたものだから未だに噛みつき続けていると周囲には思われているし、彼もそれを否定せず教室を出た。上手いものである。彼は外見に似合わずとてもクレバーだ。
途中でお昼を買って日当たりの良い中庭に出た。人通りはまばらだが、奥まったところでこそこそ話すより堂々としている方が怪しまれないものである。
「で、まず何から説明しましょうか」
「投票先はどこだったんだよ」
「? あ、本当に気になっていたの? 飯田君よ」
「俺に借り作っといてかましてくれたなァ……」
「本当に委員長に向いていると思ったから投票したのよ。賄賂で投票されて、それでいいのかしら?」
「ケッ」
思いの外本当に気になっていたらしい投票先を開示すればピキピキと怒りをあらわにしたものの、納得はしてもらえたようだった。
やっと本題を、と口を開く前にけたたましい警報音とアナウンスが響く。窓から見てみれば食堂がパニックを起こした人でごった返している。
「ああ、このタイミングだったの……」
「あ? ボサっとしてんじゃ、」
「いいの、大丈夫よ。マスコミでしょうし」
「……どういうことだ」
「その件も含めて、放課後全部お話しするわ。覚悟はできて?」
「ハッ。舐めんな猫かぶり」
この”不測の事態”を通じて私が話そうとしていることの大きさや知る危うさをほのめかしてみたけれど、なんとも頼もしい返しだった。軽く返されたわけでもない。
私としては協力者が得られるから良いのだけれど。彼にとっては今日のような”誰にも何かわけのわからないこと”を手持ちの情報から推測して考える為の材料が増えるのだからまあ、メリットにならなくもないかしら。
「あ」
「あんだよ」
「これだけ人がごった返すのなら、スマホ、彼らの足元に投げておくだけで良かったわ……」
「ハッ」