17
早朝から月城にもたらされた情報について色々と話していると思いがけない邪魔が入った。
もちろん朝の教室なんかで話していればいつかは登校してきた生徒によって会話は終わりになることはわかっていたが、想定より早くにそれが訪れた。
相手が相手だったのもある。勝手に苦い思いを抱かされた半分野郎。アイツ曰く”めでたい頭の彼”。一瞬、彼女の形容語句が一般的ではないことを指摘するか迷って知らせない方が愉快だったのでやめたのを思い出した。
そんな奴が席の先頭なもんだから嫌でも目に入るわけだが、今朝はまっすぐに月城の元へ向かっていく。あ?
「月城、だよな。お前んちデカい病院だったりするか?」
「(このタイミングで急に何の確認だ……?)」
「……ええと、わたくしの親は大きな病院の医師ですし、経営もしておりますけれど。家は病院ではなく普通の家に住んでおります」
「(いや解っとるだろそこは。そこを聞いてんじゃねーだろ。なんで急にボケんだよ)」
「そうか。お前は家業を継げとか言われねぇのか?」
「(真顔で流すんか)」
「言われております。親には強く医学校へ進むよう言われましたし。私 の判断で先にヒーロー免許を取得するためにここにおりますの」
「(一人称まで徹底して演じてやがる……警戒してるわけだ。んで、コイツ雄英入学の建前はそういう感じだったわけだ)」
「……そうか」
何の会話だこれは。必要だったか今の。流すんかよそこ。あまりにふわふわとした会話に突っ込みを入れそうになりながらスマホをいじるふりをして聞き耳を立てた。そんなことをせずとも静かな教室内だったので丸聞こえだったが。
彼女があいつを警戒していたのはわかった。おそらく彼女が言っていた例のあの人の手駒のうちの一人なのでは? と考えているのだろうが。たしかに声をかけるには絶妙なタイミングではあった。しかしそれならば質問の意図が見えない。
「ねえ、貴方の名前を聞いてもいいかしら? ごめんなさい、人の名前を覚えるのが苦手で」
「(今聞くんか。それも本人に行くんかお前)」
「いや。構わねぇよ。轟焦凍だ」
「とどろきさん。わたくしはご存知だったようですが月城瑠奈です」
「(人の名前を嚙みかけんなや)」
「……兄弟はいないのか?」
「……? ええ、生まれてこの方ずっと一人っ子ですけれど……」
「(コイツのたまに訳わからん語彙力はなんなんだよ。これでふざけてねぇんだからホントなんなんだよ)」
「そうか」
「(コイツもコイツで自分から聞いてきたんだろうがよォ! キャッチボールをテメェから落とすな拾えやァ!!!)」
掴みどころのない会話に疲れたのは爆豪だけのようで、会話を終えたふたりは何食わぬ顔で各々着席していた。
もちろん朝の教室なんかで話していればいつかは登校してきた生徒によって会話は終わりになることはわかっていたが、想定より早くにそれが訪れた。
相手が相手だったのもある。勝手に苦い思いを抱かされた半分野郎。アイツ曰く”めでたい頭の彼”。一瞬、彼女の形容語句が一般的ではないことを指摘するか迷って知らせない方が愉快だったのでやめたのを思い出した。
そんな奴が席の先頭なもんだから嫌でも目に入るわけだが、今朝はまっすぐに月城の元へ向かっていく。あ?
「月城、だよな。お前んちデカい病院だったりするか?」
「(このタイミングで急に何の確認だ……?)」
「……ええと、わたくしの親は大きな病院の医師ですし、経営もしておりますけれど。家は病院ではなく普通の家に住んでおります」
「(いや解っとるだろそこは。そこを聞いてんじゃねーだろ。なんで急にボケんだよ)」
「そうか。お前は家業を継げとか言われねぇのか?」
「(真顔で流すんか)」
「言われております。親には強く医学校へ進むよう言われましたし。
「(一人称まで徹底して演じてやがる……警戒してるわけだ。んで、コイツ雄英入学の建前はそういう感じだったわけだ)」
「……そうか」
何の会話だこれは。必要だったか今の。流すんかよそこ。あまりにふわふわとした会話に突っ込みを入れそうになりながらスマホをいじるふりをして聞き耳を立てた。そんなことをせずとも静かな教室内だったので丸聞こえだったが。
彼女があいつを警戒していたのはわかった。おそらく彼女が言っていた例のあの人の手駒のうちの一人なのでは? と考えているのだろうが。たしかに声をかけるには絶妙なタイミングではあった。しかしそれならば質問の意図が見えない。
「ねえ、貴方の名前を聞いてもいいかしら? ごめんなさい、人の名前を覚えるのが苦手で」
「(今聞くんか。それも本人に行くんかお前)」
「いや。構わねぇよ。轟焦凍だ」
「とどろきさん。わたくしはご存知だったようですが月城瑠奈です」
「(人の名前を嚙みかけんなや)」
「……兄弟はいないのか?」
「……? ええ、生まれてこの方ずっと一人っ子ですけれど……」
「(コイツのたまに訳わからん語彙力はなんなんだよ。これでふざけてねぇんだからホントなんなんだよ)」
「そうか」
「(コイツもコイツで自分から聞いてきたんだろうがよォ! キャッチボールをテメェから落とすな拾えやァ!!!)」
掴みどころのない会話に疲れたのは爆豪だけのようで、会話を終えたふたりは何食わぬ顔で各々着席していた。