21
木の葉のように簡単に吹き飛ばされた己の身体に脆弱さを感じないこともないけれど、あの規格外と比較しても仕方ないと持ち直す。
「(脳無から引き離した一瞬だけ治癒をかけることができた先生も、また沈められてしまった。私はもう……素早くは動けないわね)」
治癒できるところは治しているものの、インパクトと同時に接触部位であった左わき腹の治癒が滞っていた。中で骨が折れているために下手に繋げることもできないのである。こういう時治癒だけで来ても役に立たないなと思う。
幸い胃から血がせり上がってくることはないため内臓は一応無事のようだった。
ここへ飛び込んで来た時にちらりと確認した入り口付近の惨状もそのままの為そちらにだけは生かせないように立ち上がりはしたものの、機動力を削がれた自分にどれほどあの脳無を止めていられるか。ここは屋外ほど広いために散布麻酔も効果が薄い。
盤上が詰みかけている――と考えたとき、入口の扉がはじけるように開いた。
「私が来た!!!」
そこから目で追えないほどのスピードで先生や水辺の生徒たちを回収し、あっさりと治癒を持つ私の元へと届けてしまった。
「皆、入口へ。相澤君を頼んだ。意識がない!」
「オールマイトだめです!あの脳ミソ敵! ワン……僕の腕が折れないくらいだったけどびくともしなかった!きっと……」
「緑谷少年。大丈夫」
言い募る緑谷君を制してそのまま敵のもとへ飛んでいく。何かを迷い考える緑谷君を置いておいて、私は相澤先生の元へと身を寄せる。
腕はあれから悪化はしていないが、顔面が重点的に潰されている。顔面も腕も私の脇腹と同じ理由で完治はできない。が、眼球やその他視神経に関わりそうな筋肉や筋の断裂など治しておけそうな部分は先に治癒させていく。個性に直接関与可能な貴重な先生の個性。仕事道具でもある目を失うのはよろしくないもの。
あらかたの応急処置を済ませて三人に託し、私は万が一の時はここで麻酔散布をしなければいけないこと、ケガで大きく動けず先生を運ぶのは任せたいことを伝えて若干距離のとれた位置から様子をうかがっていた。
すると入口へと移動中の三人の中で、それまで挙動不審だった緑谷君が担いでいた先生を私たちに預けて再び戻って行ってしまった。
彼の前には黒いモヤがいる。舌を打ちながら止めるために麻酔を散布を仕掛けたところで特大の爆発音が聞こえた。
「どっけ! 邪魔だデク!」
爆発音とともに飛び込んできた爆豪君が容赦なく緑谷君の目の前にいたモヤの敵を爆破し地面へ引き倒して確保した。それに続いて現れた硬化の彼も攻撃を仕掛けるが軽くよけられている。
轟君はオールマイトの加勢に行ったらしい。よく見ればオールマイトは脇腹を脳無の指に抉られそうになっている。緑谷君が飛び出したのはアレを目にしたからだったらしい。
ひとまずの安心を得て本格的に動ける程度の治癒を試みる。折れた骨がこんなに厄介だとは。
開腹手術ができない以上はここでできる処置はもうないというところまで治癒させ、敵包囲網へと加わるために近づいていく。
「脳無、爆発小僧をやっつけろ。出入口の奪還だ」
「身体が割れてるのに動いてる!?」
「この敵の能力はショック吸収だけじゃなくてよ」
「月城!! おま、おまえ大丈夫か!?」
「ええ」
硬化の切島くんが大きくリアクションを見せるのであらゆる視線がこちらへ向く。身体は治せてもコスチュームはどうしようもできないのだからボロボロの姿をあまり見ないでほしいのですけれど。
「私とやりあったときに治癒……再現、いえ、あれは回復かしら。腕が生えてきていたわ」
「超回復にショック吸収!?」
「脳無にやられても復帰してくるのかよお前……」
「先ほどはどうも。仕返しに参りましたわ」
にこりと笑んで見せるも実際にはそこまでの余裕はない。今の私は走れもしない身体だ。
麻酔を用意すべきかと考えていると脳無が爆豪君を狙って動いた。一瞬のことで全く対応ができなかった。
「よっ避けたの!? すごい……!」
「違ぇよ黙れカス」
状況把握に努めているうちにオールマイトが爆豪君を庇って移動までさせていた。彼の顔を見るに、彼にも把握しきれないスピードであったらしい。
だんだんと体内で出血しているのか貧血の症状が出ている。しかし出血部位が特定できず出血を止めるすべがない。
くらくらする頭で「3対6だ!」という言葉を聞く。
今の私に1人分の戦力として数えられるほどの力があるだろうか?
「(脳無から引き離した一瞬だけ治癒をかけることができた先生も、また沈められてしまった。私はもう……素早くは動けないわね)」
治癒できるところは治しているものの、インパクトと同時に接触部位であった左わき腹の治癒が滞っていた。中で骨が折れているために下手に繋げることもできないのである。こういう時治癒だけで来ても役に立たないなと思う。
幸い胃から血がせり上がってくることはないため内臓は一応無事のようだった。
ここへ飛び込んで来た時にちらりと確認した入り口付近の惨状もそのままの為そちらにだけは生かせないように立ち上がりはしたものの、機動力を削がれた自分にどれほどあの脳無を止めていられるか。ここは屋外ほど広いために散布麻酔も効果が薄い。
盤上が詰みかけている――と考えたとき、入口の扉がはじけるように開いた。
「私が来た!!!」
そこから目で追えないほどのスピードで先生や水辺の生徒たちを回収し、あっさりと治癒を持つ私の元へと届けてしまった。
「皆、入口へ。相澤君を頼んだ。意識がない!」
「オールマイトだめです!あの脳ミソ敵! ワン……僕の腕が折れないくらいだったけどびくともしなかった!きっと……」
「緑谷少年。大丈夫」
言い募る緑谷君を制してそのまま敵のもとへ飛んでいく。何かを迷い考える緑谷君を置いておいて、私は相澤先生の元へと身を寄せる。
腕はあれから悪化はしていないが、顔面が重点的に潰されている。顔面も腕も私の脇腹と同じ理由で完治はできない。が、眼球やその他視神経に関わりそうな筋肉や筋の断裂など治しておけそうな部分は先に治癒させていく。個性に直接関与可能な貴重な先生の個性。仕事道具でもある目を失うのはよろしくないもの。
あらかたの応急処置を済ませて三人に託し、私は万が一の時はここで麻酔散布をしなければいけないこと、ケガで大きく動けず先生を運ぶのは任せたいことを伝えて若干距離のとれた位置から様子をうかがっていた。
すると入口へと移動中の三人の中で、それまで挙動不審だった緑谷君が担いでいた先生を私たちに預けて再び戻って行ってしまった。
彼の前には黒いモヤがいる。舌を打ちながら止めるために麻酔を散布を仕掛けたところで特大の爆発音が聞こえた。
「どっけ! 邪魔だデク!」
爆発音とともに飛び込んできた爆豪君が容赦なく緑谷君の目の前にいたモヤの敵を爆破し地面へ引き倒して確保した。それに続いて現れた硬化の彼も攻撃を仕掛けるが軽くよけられている。
轟君はオールマイトの加勢に行ったらしい。よく見ればオールマイトは脇腹を脳無の指に抉られそうになっている。緑谷君が飛び出したのはアレを目にしたからだったらしい。
ひとまずの安心を得て本格的に動ける程度の治癒を試みる。折れた骨がこんなに厄介だとは。
開腹手術ができない以上はここでできる処置はもうないというところまで治癒させ、敵包囲網へと加わるために近づいていく。
「脳無、爆発小僧をやっつけろ。出入口の奪還だ」
「身体が割れてるのに動いてる!?」
「この敵の能力はショック吸収だけじゃなくてよ」
「月城!! おま、おまえ大丈夫か!?」
「ええ」
硬化の切島くんが大きくリアクションを見せるのであらゆる視線がこちらへ向く。身体は治せてもコスチュームはどうしようもできないのだからボロボロの姿をあまり見ないでほしいのですけれど。
「私とやりあったときに治癒……再現、いえ、あれは回復かしら。腕が生えてきていたわ」
「超回復にショック吸収!?」
「脳無にやられても復帰してくるのかよお前……」
「先ほどはどうも。仕返しに参りましたわ」
にこりと笑んで見せるも実際にはそこまでの余裕はない。今の私は走れもしない身体だ。
麻酔を用意すべきかと考えていると脳無が爆豪君を狙って動いた。一瞬のことで全く対応ができなかった。
「よっ避けたの!? すごい……!」
「違ぇよ黙れカス」
状況把握に努めているうちにオールマイトが爆豪君を庇って移動までさせていた。彼の顔を見るに、彼にも把握しきれないスピードであったらしい。
だんだんと体内で出血しているのか貧血の症状が出ている。しかし出血部位が特定できず出血を止めるすべがない。
くらくらする頭で「3対6だ!」という言葉を聞く。
今の私に1人分の戦力として数えられるほどの力があるだろうか?