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そうして迎えた入試当日。
事前に郵送された受験票を手に二人と待ち合わせた場所へ向かう。
「おはよ」
「あっおっオハヨッ」
「はよじゃねーんだわ。俺んちに忘れていきやがって」
「あ、へへ。寒いと思った〜」
「なんで寒ィのに忘れられるんだよ」
ネクタイを結ぶ奥さんのように甲斐甲斐しくマフラーを巻いて世話を焼くかっちゃんと、緊張でカクカクしながらも「ナカヨシダネッ!トウトイッ!」とガン見してくるいずくん。
「ん、みんなだいたいいつも通りかな」
「節穴かよ。デクは緊張で使い物ンならなくてもおかしくねーぞ。おまえも、ンでそんなにドキドキしてんだよ」
「わかる?」
「エッ!? 瑠奈ちゃんも緊張してるの!!? 激レアだッ! 写真撮っていい!?」
「ん」
「緊張すンのか能天気すンのかどっちかにしろやッ」
マフラーをきれいに巻き上げて取れたリップクリームまでちゃちゃっと塗り直してくれたかっちゃんは今日も朝から元気だ。
いずくんはあれでやらないといけない時はちゃんと切り替えてやれる子だから大丈夫だろう。初動は遅れるかもしれないが。……いや、よくないな。あとで言って聞かせとこう。
そして私は私で初めての感覚に浮足立っている。
「10カ月、かっちゃんに勉強見てもらってきてさ。それでも知らない問題出たらどうしよう、とか度忘れしたらどうしようとか、不安になってるみたい。これ緊張だよね?」
「だろーな。たった1年未満の詰め込み勉強とはいえ、俺が教えてんだ。大丈夫決まっとんだろ。……手まで震えるほどかよ」
「うん。武者震いじゃないよコレ。凄いね。死地に赴くときすらこうはならないよ」
「どういう例えだ。……いやコレちげーわ馬鹿!冷えすぎだ!!両手寄こせッ」
いずくんからカイロをもらい、かっちゃんから手袋を借りて震えが止まった。やっぱり何度迎えても日本の冬がおかしい。寒すぎないか?
「(大きくなったな、ふたりとも)」
サイズの合わない大きな手袋を見ながら地下鉄駅へ向かう。二人が弟子入りしてきたころはあんなに小さくて……その頃も別に私よりは既に大きかったか。大きかったわ。私が今世では小柄なだけかもしれない。自分に嘘をついてもしょうがない。前世も今世も小さいので多分そういう呪いがかかっている。
電車内は逆に熱くなるほどに温められた空気に、薄い肌がすぐに顔が上気していく。良いものを食べ、良いところで眠れる生活をすると、皮膚が柔らかいまま薄いまま成長できるらしい。鏡で見る顔は、どう映ってみても頼りなくすぐ死にそうな容貌をしている。本当によく、こんな見た目の私を信じてついてきてくれたと思う。いずくんにいたってはなんか不審な男も一時期まとわりついて居たっぽいし。最近見なくなったけれど。
「……いっしょの学校、行こうね」
改めて二人に言えば、一瞬の間ののちにそれぞれ「たりめーだろ」「うっウン……!」とやる気に満ちた返事を返してくれた。この電車が到着すれば、もうすぐだ。
事前に郵送された受験票を手に二人と待ち合わせた場所へ向かう。
「おはよ」
「あっおっオハヨッ」
「はよじゃねーんだわ。俺んちに忘れていきやがって」
「あ、へへ。寒いと思った〜」
「なんで寒ィのに忘れられるんだよ」
ネクタイを結ぶ奥さんのように甲斐甲斐しくマフラーを巻いて世話を焼くかっちゃんと、緊張でカクカクしながらも「ナカヨシダネッ!トウトイッ!」とガン見してくるいずくん。
「ん、みんなだいたいいつも通りかな」
「節穴かよ。デクは緊張で使い物ンならなくてもおかしくねーぞ。おまえも、ンでそんなにドキドキしてんだよ」
「わかる?」
「エッ!? 瑠奈ちゃんも緊張してるの!!? 激レアだッ! 写真撮っていい!?」
「ん」
「緊張すンのか能天気すンのかどっちかにしろやッ」
マフラーをきれいに巻き上げて取れたリップクリームまでちゃちゃっと塗り直してくれたかっちゃんは今日も朝から元気だ。
いずくんはあれでやらないといけない時はちゃんと切り替えてやれる子だから大丈夫だろう。初動は遅れるかもしれないが。……いや、よくないな。あとで言って聞かせとこう。
そして私は私で初めての感覚に浮足立っている。
「10カ月、かっちゃんに勉強見てもらってきてさ。それでも知らない問題出たらどうしよう、とか度忘れしたらどうしようとか、不安になってるみたい。これ緊張だよね?」
「だろーな。たった1年未満の詰め込み勉強とはいえ、俺が教えてんだ。大丈夫決まっとんだろ。……手まで震えるほどかよ」
「うん。武者震いじゃないよコレ。凄いね。死地に赴くときすらこうはならないよ」
「どういう例えだ。……いやコレちげーわ馬鹿!冷えすぎだ!!両手寄こせッ」
いずくんからカイロをもらい、かっちゃんから手袋を借りて震えが止まった。やっぱり何度迎えても日本の冬がおかしい。寒すぎないか?
「(大きくなったな、ふたりとも)」
サイズの合わない大きな手袋を見ながら地下鉄駅へ向かう。二人が弟子入りしてきたころはあんなに小さくて……その頃も別に私よりは既に大きかったか。大きかったわ。私が今世では小柄なだけかもしれない。自分に嘘をついてもしょうがない。前世も今世も小さいので多分そういう呪いがかかっている。
電車内は逆に熱くなるほどに温められた空気に、薄い肌がすぐに顔が上気していく。良いものを食べ、良いところで眠れる生活をすると、皮膚が柔らかいまま薄いまま成長できるらしい。鏡で見る顔は、どう映ってみても頼りなくすぐ死にそうな容貌をしている。本当によく、こんな見た目の私を信じてついてきてくれたと思う。いずくんにいたってはなんか不審な男も一時期まとわりついて居たっぽいし。最近見なくなったけれど。
「……いっしょの学校、行こうね」
改めて二人に言えば、一瞬の間ののちにそれぞれ「たりめーだろ」「うっウン……!」とやる気に満ちた返事を返してくれた。この電車が到着すれば、もうすぐだ。