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筆記試験に四苦八苦したのち。
集合した講堂で説明を受けるに、どうやらロボット相手にした模擬戦闘が実技試験らしい。これは……どうなの?戦闘力しか見てないってこと?それとも戦闘に足る素質はベースで必須だという事か。無個性は置いておくとしても、戦闘に向かない、もしくは補助的な個性や対人特化個性、なんなら隠密系個性なんかも軒並み落ちそう。体を鍛えていなければ。
「三人とも会場分けられちゃったね」
「うっ……一人で不安だなぁ……」
「おめーは脳死でパンチでもやってろや」
「! そっ、そうだね! 僕やっと木を倒せるくらいになったんだ、これならロボだって……ロボ……鋼鉄だけど」
「怪我したら治療したげるから限界超えて頑張ってきてね」
「ウ、ウン!」
「俺ァ怪我なんざしねぇ! 瑠奈! お前に見せつけられねぇのが残念だぜ!!」
「じゃあかっちゃんには課題をあげようかな」
本当に内心ではここまでの成果を見てもらえなくて残念だと思っているんだろうかっちゃんに課題をあげると言うと、ぴたりと止まってソワソワし始めた。たまに思うんだけど、かっちゃんてば、ほんと私に褒められたくてしかたないんだな。
「試験時間内に三人、助けてみようか」
「ハ?」
「点数にならないことでもやるのがヒーローってもんでしょ? 周囲を見て、知らない人の状況を判断して即座に手を伸ばす。意外と大変だよ、人を助けるの」
「モブども助けられるくれぇ視野広げろってか」
「そゆこと。あと! 0ポイントのでかいやつ、あれも倒そうね。あれくらいヨユーでしょ? その上でちゃんとポイント計算しておくこと。これが私からの課題ね」
「貧弱モブどもにかかずらってるとストレス溜まっからちょうどいいわ」
「いずくんも、トライしてみて。そのオーラ増えた総量ならやれると思うんだよ」
「エ! アッウン! ガンバルヨッ!」
いずくんの中にいつからか爆発的に増えたオーラ。その量は修行の度に増しており、たまに目にオーラを集める凝をしていなくても見えるほど。これオーラも使ってるけど、凝なくても見えてる時点で念能力じゃないんだよな。個性じゃない? これ。
市街を模したジオラマのような作られた街並みを前に、オーラを薄く広げる円で索敵範囲を確認する。15、6の身体でできるだけの時間をオーラ伸ばしに使ってきた。今や円の範囲は前世を超えて半径25Mに達しようとしている。もしかしたらこの体の方が念に向いていたのかもしれない。悲しい事実だ。
己の能力に悲しみを覚えながら、スタートの声と同時に飛び出し街角に隠れていた個体を帯で串刺しにする。そのままモーニングスターのように別のロボへ叩きつけ、その反動でほぼ筋力なしに飛び上がる。そのまま空中で索敵しつつ、かっちゃんに言った手前自分も適度にヒーローをすることにした。
円で索敵しているためほぼ迷うことなく流れるようにロボを破壊していく。帯の範囲も円の範囲と比例して伸びており、使い勝手が良くなっている。前世の私が泣く。
「やーっと来たか」
地鳴りのような足音を立てて現れる0ポイントの敵。そのサイズ感も思っていたよりデカイ。これなら力比べに持って来いかもしれない。
その巨体の進行に散り散りに逃げていく受験者たちの中に立ち、見上げる。後ろには慌てて転んだ生徒もちらほらおり、このままこの巨体を見逃せば小さくない傷を負うかもしれない。
「ヒーローって
言いながら振り下ろされた腕をひらりと避けて巨体の後ろへ回り、帯で四肢と胴を拘束する。そのまま力比べだというように腰を落として踏ん張る。ぎちりと動きを止める巨体。その帯の拘束力と引っ張る力に負けて徐々にボディがひしゃげていく。念を用いた力でも具現化系ではこの程度かと確認して一気に巨体を引き倒し地面に拘束してこの試験は終了を告げた。
この体は前世の私より念に向いているけれど、この時点で強化系のいずくんの推測される全力には及ばないだろう。いいな。かっちゃんもいずくんも、いずれ私を超えていくんだ。