22


「っと動くな! “怪しい動きをした”と、俺が判断したらすぐ爆破する!!」

ワープゲートのモヤ敵を抑え込んだままリーダーらしき野郎に目を向ける。その視界に入り込んできた月城の姿。

「脳無にやられても復帰してくるのかよお前」

顔に手を張り付けた気色悪ィ敵は、まっすぐ月城に向かってそう言った。

「(先公すら潰してなお傷ひとつないバケモンが、相手したのに無事で済んでるはずがねェ。それにあいつ、あのコスの破損度、)」

ボロボロの服というより使い古した雑巾と言って差し支えない見た目になっているそれ。負傷部位の皮膚に傷は見られないが足取りがヨタヨタしているのを見るに、治癒だけじゃどうにもならないダメージが残っているという事。
一瞬思考に隙が生まれる。そこに脳無が迫る。

「よっ避けたの!? すごい……!」
「違ぇよ黙れカス」

目に映った彼女の惨状に思考が乱れたなど陳腐な言い訳だ。何も見えなかった。見えないうちに助けられていた。その上相手は治癒持ちの個性にすら手に負えない中身を壊すほどの膂力があり、俺の目に負えないほどのスピードもある。
全面的に敵対姿勢を取っているが、いいのか。彼女から共有こそされてないが前回のように反抗しなければ見逃してやると指示が来てんじゃねぇのか。

「3体6だ。……いいか、やってもらうぞ、月城」
「お気遣いどうも。お礼にいざという時はあなた諸共全員麻酔で落として差し上げます」
「おお……そうだな」
「(こんな時に気ィ抜ける会話してんじゃねぇ!!!)」

取り逃がしてしまったモヤモブがあちらについたことで枷の無くなった敵どもが勢いづく。それに対応しようとしたが、

「ダメだ! 逃げなさい」

オールマイトから静止が入る。半分野郎やデクがなんか言ってるが、オールマイトはそれを跳ねのけて敵へ向かう。敵が勢いづいて迫るも、リーダーの勢いはオールマイトの気迫に気勢を削がれて止まった。そうして脳無の拳とオールマイトの拳がぶつかる。
相手がショック吸収だとわかっていて、それでもなお真正面から迎え撃っている。

「私の100%を耐えるなら! さらに上からねじふせよう!! ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!」

鳥肌が立った。完全に自分特化に対策されている敵を、正面突破する姿。幼い頃に憧れてやまなかったヒーローの姿だった。

「敵よ、こんな言葉を知ってるか!? ”Plus Ultra(更に向こうへ)”!!」

脳無が吹き飛ばされ、オールマイトの勝利が確定した。土埃の合間に敵を牽制している。あの気迫、敵すら想像していた以上の力で圧倒して見せていた。

「さすがだ……俺たちの出る幕じゃねぇみたいだな。大丈夫か」
「ええ……吹っ飛ばされるかと。ありがとう、借りができたわ」
「ウェイトがねぇな」
「痛感したところよ」
「緑谷! ここは退いた方がいいぜもう。却って人質とかにされたらやべェし」

さりげなく風圧に負けたらしい月城が半分野郎に借りを作っている間、撤退の準備に入るもデクの顔がおかしかった。何を、どこ見てる。同じく気付いたらしい月城も視線をやって不可解そうな顔をしていた。

HOME