SEE YOU 2
最近の朝は寒い。
今日も寒さで目が覚め、再び夢の中に引き戻されそうになる。
レギュラスがいないならずっと眠っていたい。
そんなことを頭の中で考えていると近くから聞きなれた声。

「メル、寝るならタオルケットを掛けないと風邪をひきますよ」
『レ、ギュラス・・?』

閉じていた目をなんとかして開けると、いつもの呆れたような顔でこちらを見つめるレギュラスの姿。

『夢、なのかな?』
「夢ではないですよ、言っておきますが」
『だって、レギュラスは死んだって・・』
「死にましたよ。だから僕がここにいるんです」
『どういうこと?』
「一言で言うと今の僕は“記憶”です」
『ホークラックス・・?』
「人は殺してはいないですけど、まぁそんな感じです」

レギュラスが困ったように笑う。私の頭がいつもの状態にだんだん戻ってきた。
目の前の彼をよく見ると、身体が透けていた。
レギュラス、と話しかけようとすると

「メルにやってもらいたいことがあるんです」

彼は少し寂しそうな表情で言った。


***

『レギュラス、こんなにたくさんある本の中から挟んだ手紙を探すなんていつ終わるかわからないよ』

レギュラスの書斎の本棚を探し始めてからおよそ3時間。目的のものは一向に見つからない。

『何か覚えていないの?』
「んー。ヒントは教科書ですかね」
『教科書・・・』

教科書と言われて、綺麗に並べられたレギュラスが使っていた教科書たちを調べ始める。ふと、手に取った1年生の魔法薬学の教科書。懐かしさに笑みをこぼしながら本を開くと、そこには今まで探してきたと思われる手紙があった。

『あ!これかな?レギュラス、たぶんあったよ・・・って、あれ?』

ついさっきまで後ろにいたはずのレギュラスの姿がなくなっていた。手元の手紙の宛名を確認すると私の名前が書かれていた。レギュラスに頼まれたことも忘れて、手紙の封を切る。

***

“メルへ

この手紙を読んでいるということは、僕は死んだみたいですね。
勝手にいなくなってしまってすみませんでした。
だけど、僕がやらなければならないことがあったんです。

泣き虫なメルのことだから一晩中泣いてしまったのではないかと心配です。
一番大切な貴女を泣かせてしまうなんて、僕は最低な人間です。
泣いてばかりのメルに少しでも笑顔が戻ればいいなと思ってこの手紙を残します。

少しだけ、僕の昔話に付き合ってください。

僕とメルとの出会いは1年生のときの魔法薬学の授業。
たまたま僕とメルがペアを組むことになって、それから一緒に授業を受けるようになったんですよね。
それからしばらくして、クリスマスの日にメルから告白してくれて僕たちは付き合い始めました。ずっと誰にも言っていませんでしたが、告白されたときは飛び跳ねたいくらい嬉しかったんですよ。

バレンタインに手作りのちょっと不格好なチョコをプレゼントしてくれたり、一緒にテスト勉強したり、夜中にふたりで天文台まで抜け出したり、喧嘩してメルが兄さんのところへ行ったのを僕が連れ戻したり、学生時代はメルと一緒の思い出ばかりです。くるくると表情を変える貴女を見ているのは本当に楽しくて、嬉しくて、幸せでした。

メルは僕にたくさんのものをくれました。
そんな貴女に僕は何かしてあげることができたでしょうか。
たぶん、返しきれていないのではないかと思います。
愛の言葉だって、メルにちゃんと返しきれていないです。
今になってもっとたくさん言ってあげればよかったと後悔しています。

ねぇ、メル。
僕は貴女には幸せになってほしいです。

数えきれない人の中から君を見つけて、
君を選んだのは僕なのに、
メルを自分の手で幸せにできないのはとても悔しいです。

だけど、メルが笑っていてくれるなら僕は幸せです。

だから

そんな泣きそうな顔じゃなくて

僕の大好きな笑った顔のメルに少しでもはやく戻ってください。”





(願っても叶うことはないけれど、僕は君のこと守り続けたい)
(また、泣いている貴女のそばにいれない僕を許して)


*********************

曲:【粉雪/レミオロメン】より
3/19