カレッジスチューデント(荒北さんに赤本を貰い受けた時のオーキャン)
1週間ほど前に荒北先輩に向けてLINEを送った。それに対して数時間開けて簡素に「わかった」とだけ返ってきたのはちょっと面白かったな。
「お久しぶりです、荒北先輩」
「あー、#名字#は元気そうネ」
「ムッチャ元気ス」
まだ夏の香りが残る日だ。日差しを避けるために日傘を差して校門の前でぼんやりしていると、時間ピッタリに荒北先輩が姿を現した。ダルそうに歩く姿は高校の時と変わらなく見える。
「ごめんなさい、まだ大学生て夏休みですよね。わざわざ私のために出向いてもろて」
「まーネェ。でも大会の練習とかで超来てっから。家も近ェし」
「ああ、一人暮らししてはるんですよね。この辺って家賃なんぼくらいなんですか?」
「あー、気になるよネ。俺ンとこはオートロックとかも無ェようなとこだけど……色々込みで……」
校門を潜り、校舎配置図を眺めながらなんて事ない世間話をする。インターハイの事や、選手としての他の人のことには一切触れずにいるのはわざとか、無意識か。
「校舎多ないですか?校内循環バスとかあんのや……」
「パンキョー受けてすぐ専攻科目に行くって時に歩きじゃ間に合わねーんだヨ。特に工学科はホラ、こんな端っこにあんダロ。パンキョーはここで受けっからァ……歩くとどんだけ頑張っても15分ってトコ。チャリならスグだけど、事故ったらシャレになんないしネ」
「やばあ……」
案内図を指さして目測で距離をはかる。ただでさえ大きい敷地に、縦にもデカい校舎。それを日々移動するなんてこと、高校生の私からすれば考えられないし、上手く出来るか不安で仕方ない。
「で、ここが食堂。食堂のメシは〜……安くて多い。でも校内にコンビニとチェーン店とかも幾つかあっから、食堂で食わなきゃいけないってこともねえな」
「へええ……」