Koneta


いつか本編採用するかもしれないものもあります。
名前変換ないのに名前変換タグが使われてます(なぜ……)

ノーデータ
「……広西?」

目を疑った。京都伏見の出走リストがあまりにも予想外だったからだ。
水田や山口は分かる。彼らはそこそこに走れる人だったし、去年のインターハイにも出ている。何なら水田はキャプテンだ。……多分、形ばかりのキャプテンになっているのだろうけれど。

「どうした、#名前#」
「……ちょっと、京都伏見の出走リストで気になったのがあって。杞憂かもしれへんねんけど、聞く?」
「ああ、聞かせてもらおう」

ウォーミングアップを済ませたアブくんが紙の束を前に唸っている私を見て近付く。深刻そうに紙から目を離さない私を見て声を低くした。

「この広西って人……ウチらと同い年の。1年の時と2年の初め、よお見とったけど……広西出すくらいやったら西田とか、峰岸を出すやろと思うねん。もし、この1年で覚醒したってんなら別やけど……」
「それは無い、と?」
「無いとは言いきれへんけど、私は可能性低いと思う。向上心が……その、なんて言うか、少ない人やから」
「そうか……。何かの作戦と考えた方が良さそうだね」

同じ紙束を覗き込んで2人で唸る。私は御堂筋くんの事をよく知らない。ほんの数ヶ月と、去年のインターハイでしか彼のことを見ていなかったからだ。彼はとても頭が回るし、人の心の動きにも敏い。何か、私達には分からない作戦を立てているのかもしれない。

「ん?補欠に1年生か。岸神小鞠……聞かない名前だな」
「補欠に1年……御堂筋くんが?…………もしかして……」
「何か気が付いたのか」
「これは最悪ですよ、最悪の考えや。……ただ、御堂筋くんならやるかもしらん」
「まさか、この3年生と補欠を入れ替えること前提の布陣だと?」

御堂筋くんは非道で、合理的だ。広西は目立ちたがりだし、何かいい事があれば色んな人に言って回るお調子者で、才能の存在を過信している。私達箱根学園でも広西のデータはある。多分、他の学校でデータ取りに熱心な学校も彼のデータは取ってあるだろう。京都伏見は部員もそこまで多くないからだ。もし、今回広西が出れることを他の学校が知ったら?私のように、何故広西が?と考えたら?私は京都伏見の内部を少しだけ知っているからここでおかしいと感じ取れたけど、もしも私が京都伏見の事を何も知らなかったら?
きっと、今年の京都伏見は『薄い』そう感じるだろう。
そして、私はこの岸神小鞠の事を知らない。何かの大会で成績を残した訳でも無いから、データは殆どゼロだ。

「嫌ァな感じですわ。岸神小鞠……」
「うん、そうだね」

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