カルデアは閉鎖的だ。
というのも、ここが雪山の中にあって、しかも今は外の世界が滅んでいるというのだから。

「ぐだくん」
「名前さん、いっつも言ってますよね。そのあだ名はやめてくださいって」
「いいじゃん。ぐだくん、ぐだくん!ぐーだくん!!」
「もー…」

黒いシックな礼装に身を包んだぐだくんはこちらを振り返るなり苦々しい顔をしている。
彼の名前はフジマルリツカらしいが、私はずっとずっと、彼をぐだ男くんだと認識している。
なぜなのかは今となっては思い出すところではない。彼はぐだ男くんなのだ。

「で、どうしたんですか?久しぶりですよね、管理室から出てるの」
「まあね。ダヴィンチちゃんにちょっとの間代わってもらって、私は休憩。ご飯食べようと思って」
「ああ、なら今丁度キッチンにブーティカが」
「本当?ああでも…私、英霊の人たちと話すのって怖いんだよね。彼ら、癖が強いから…」
「まあ、ギルガメッシュとかと話すのは俺も未だにちょっと怖いですよ」
「エミヤくんは話しやすいんだけどなあ」

言いつつも足が向かうのは食堂で、ぐだくんもなぜかそれに着いてきている。
彼もお腹が減っているのだろうか。それともただ時間が有り余っているのか。
確かに、今の期間はインターバル中なのか特異点が新たに発見されるまで解析に少し時間が掛かるらしく、なんとなくのんびりした空気がカルデアに漂っているのは管制室に居ても感じ取ることができる。
この時間だけがぐだくんにとっても唯一安心できる時間なのかもしれない。
彼はなんというか、表面ではわかりづらいけどきっとストレスをためこんでいる。
彼自身が気付いていない可能性もあるけど。
一度精密にメディカルチェックが必要なのはそうだろう。今度ロマンに進言してみることにする。

「ぐだくんって料理得意?」
「はあ?なんですか急に」
「得意なら、作ってもらおうかと思って」
「嫌ですよ。俺がやるとブーティカがハラハラするんです。そのくらいには料理は下手ですよ」
「そっか、じゃあだめだ」

ブーティカさんにご飯をお願いするにしても、そもそも何が食堂にあるのか。そして何をリクエストできるのかが問題である。
それだったらぐだくんと共に有り合わせで適当にご飯を作るのもいいと思ったのだが、そういうわけにもいかないらしい。


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