うだるような夏がきた。
彼の部屋のクーラーはうんともすんとも言わないようで、ただただ私たちを見つめている。
「エアコン買い換えてよ」
夏用のラグに敷き変えたいからと招集をかけられ(実際のところ私は彼の応援係のようなもので、何をするでもなかった)来たはいいものの、何をするでもなくスマホをいじるだけの時間に空調の欠如はひどく気になるものだ。
どこか涼しいところに出向く手もあるのだろうが、暑いとどうも部屋から出るのも億劫になってしまう。
「ねえ、暑いよ」
「あのねえ、そりゃあんたもう八月よ?暑いもんなの」
「だからクーラー買い換えようってば」
「貧乏ピエロにはむーりー」
ごろつきながら銀と金を読み直している力一は、汗で指にはりつく漫画のページに眉を顰めている。
何度読み返してんだよその漫画。いや何度読み直しても面白いんだこれが。この会話が半年に一回は交わされる。
家賃四万(管理費込み)のぼろアパートに住むピエロは化粧も落として服も襟のよれた服でだらけている。
ちなみに今のエアコンは軽く5万円を超える。
「……うちわ貸して」
「やだね」
絡むつま先だけはそのままがよくて、すぐ近くにある図書館に行こうとはどちらも言い出さなかった。
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