「おうさまげえむ。」
私がそう聞き返すと、ジョルノは上がった頬をさらに緩めてそうだと頷く。
「なんで急にそんな事しないといけないのよ…。」
スカートの裾が乱れていたのでそれを直しながらまわりを見ると、ジョセフや仗助も一様に何かにやついてこちらを見ている。…一体何を企んでいるのか、知りたくも無い。
「まあまあ、遊びの一環だと思って。僕のチームのみんながやりたがってるんですよ。ね、フーゴ。」
ジョルノが後ろを振り返るとそこには護衛チームの面々が肩を並べて立っていた。
話を振られたフーゴは嫌そうな顔をひとつしてからため息をついて、そうですねと言った。ジョルノに合わせているという空気を隠しもしないあたり、彼も肝っ玉が据わっている。
フーゴとアバッキオはなんだか仕方なく彼らについてきたという雰囲気が出ている。
というか彼らはいつの間にきていたのだろうか。
「…………いいですけど、さっきから後ろのみんなが怪しいからくじは私が作るからね!」
勿論三人からブーイングが飛んで来た。

「王様だーれだ」
私が作った割り箸のくじには番号が振り分けられている。私の持っている割り箸は3。
「お、やっと僕ですね。」
ジョルノが掲げた割り箸は先が赤く塗られている。その色がつけられているのは一本だけで、それが王様の印だ。
ジョルノが周りをぬらりと刃先を滑らせるように見やると、みんなが少し緊張した面持ちになる。
ジョルノは一体どういう指令を出すというのだろうか。
「今ッ!ぼくはこの空間の王だッ!つまり!僕の一声は王の一声ッ!僕の言葉は絶対ッそういう事でいいですよねッ」
さっきナランチャが王様になった時以降むすっとしていたジョルノだが、自分に運が回ったとなると急に元気が出たようだ。
私たちに謎の質問をした後に何を言おうか熟考し始めた。
私と仗助は顔を合わせて首を傾げる。しかし何故か仗助は苦笑していた。
「王様の命令です!」
バッ!と効果音が付きそうな程勢い良くこちらを振り返ったジョルノが手をこちらに大きく向けて言う。顔は満面の笑みで、何かを企んでいるのは明白だ。
「あ、あの、ジョルノ?あまり無茶は言わないでくださいよね…ね?」
念押しをするが如く急いで声をかけると、ジョルノは底意地の悪そうな笑顔を見せた。
もう私にはジョルノを止められない…。
「言いませんよ、名前。いいですか?王様の命令です。この場に居る女性は私たちに一度ずつハグ!以上です!」

「この場にいる女性、とは?」
「勿論、あなたの事ですが?」
王様ゲームとはこのように個人を絞って命令を下す事はいけないのではなかったか、という顔をしてみせると、ジョルノはまたしてもニマっと笑うと私を指差して高らかに笑う。
人を指刺さないでいただきたい。
「僕は王だ。」
王ですね。急に何を言っているのだか。
そういうゲームなのだ。くじを引いた人間は誰でも王になりうるのだけれど。
「そういう訳には」
言うも遅し。周りの人間がこれ幸いとこちらに両腕を差し出しているのだから。


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