地面につく杖が小さく震える。どうやら近くで犬が捨てられているらしい。
私はこの杖だけが味方で、他は全部が敵だと、そうやって思い生きて来た。無論そこらを歩く人間も、地面を這う虫も、か細く鳴く犬だって例外ではない。
時折自分の前に置かれた帽子に金が投げ込まれるが、投げ込んだ人間も自分に哀れみを持って投げているのだ。クソッ、馬鹿にしやがって。
犬は未だに小さく鳴いているのに、誰一人それに気がつかないのか、それとも気がついても知らないフリをしているのか。
「…」
こんな所に居てもクソ共の哀れみの目線に晒されるだけだ。私が居るところはここではない。
フラフラと行くアテも無く歩くと、何故か目の前に子犬が居た。…いや、自分がココまで無意識に足を運んでいたのだ。
つぶらな瞳でこちらを見る子犬は何の穢れも知らずにその瞳に穢れを写している。
「そんな目で見るな」
ため息をひとつ吐いて犬を抱えると、犬はワンとひとつ鳴いた。


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