アンダンテ02


「デデンネ!パラボラチャージ!!」
 攻撃を受けたフラベベは、ふらふらとしながら地に崩れた。
「お疲れ様、デデンネ」
「デネ!」
 場所は4番道路。ハクダンシティを目指すクロワはデデンネと共に野生のポケモン達とバトルを繰り返していた。
「大丈夫?疲れてない?」
「デネッ」
 デデンネが使う技、パラボラチャージは与えたダメージを吸収する技だ。その為バトルは比較的連戦でも楽に進んでいた。
「そろそろハクダンシティだね。もうちょっと頑張ってね、デデンネ」
「デネッ、デネネ!」
 このデデンネは元々懐きやすい性質であるらしく、クロワの肩が既に定位置になっている。
「ねぇ、君」
 一つ歩を進めた時、声をかけられた。
「?」
「君だよ」
 声をかけてきたのは一人の青年だった。
「ああ、驚かせたらごめんね。君が可愛かったからさ」
「は、はあ……」
 かっこいいけど怪しいなあ。クロワは抱いたのはそんな感情だった。これがナンパといわれるものだというものだと気づくにはクロワはまだ幼すぎた。
「君、見たとこ初心者トレーナーだよね?」
「は、はい……」
「ポケモンが一匹じゃ不安じゃないかな?」
「え、えっと」
「僕のヤヤコマあげる」
 青年は一個のモンスターボールを取り出し、クロワに差し出した。
「え!?そ、そんな悪いです!!」
「これ、育て屋で見つかった卵から生まれたんだ。僕には元々のファイアローがいるから、君に使ってもらった方がいいと思うんだ」
「え……えっと」
「デネ」
 デデンネがクロワにすり寄った。
「デネネ」
「デデンネ?」
「デネ」
 小さな手でボールを指差す。少しそわそわしているようにも見える。そこでクロワはぴんと来た。
「友達が、欲しいのね?」
「デネネ!」
「決まりだね!」
 青年はさりげなくクロワの肩を抱き寄せながらボールを彼女の手に収めた。
「あ、ありがとうございます……」
「あ、僕はリウト。君は?」
「クロワ……です……」
「そう、将来が楽しみだなぁ。僕は普段メイスイタウンにいることが多いから、何時でも遊びにおいでよ!」
「は、はい……」
「それじゃ」
 リウトと名乗った青年は軽く手を振り、草むらを進んで行った。あちらの方向はミアレだ。何か用でもあるのだろう。
「なんだかなぁ……」
「デネ」
 あのテンションに押し切られてしまった気がする。
 でも友達が増えたのは素直に嬉しかった。デデンネもそれも同じだったらしくしきりにクロワの手の中のボールをつついていた。


【131123】