アンダンテ13
「ここがフロストケイブかー寒いね、デデンネ大丈夫?」
「デネ……」
「みんなみたくボールに入ったら?」
「デネッ!」
さっきまでコフキムシ抱っこしてたからなあ、とクロワは苦笑する。
フロストケイブに来たのは他でもない、セキタイタウンで捨てられていたデリバードを故郷に返しにきたのだ。
「うう、床滑るなあ……」
これが終わったらレンゴクから頼まれたAZという男も探さなければいけない。
「うわっ!」
思考が一瞬飛んだのが災いしたか、クロワは凍った床で滑り転びかけた。
「危ないっ!!」
誰かがその手を掴んだ。
「えっと」
「君、クロワちゃんだよね」
眼帯をした少年がデンリュウと共に立っていた。
「そう、わざわざミアレから……」
少年はエイヴァルであった。話を聞いて申し訳なくなっているクロワにエイヴァルはにゃはは、と笑う。
「うんまあ気にしなくていいよ?どうせ暇してたし。フシデもペンドラーになったし、ミジュマルはフタチマルになったし。バンドメンバーは落ちついたら募集しようと思ってたし」
「バンドやってるの?」
「ん、まあ。最初はダチとやってたんだけどさー。俺ダチの足引っ張ってたみたいでさ。ダチのダチからへたくそって言われたの、それで修行」
「……よく笑っていられるね」
「いやいや、そんな堪えないんだって本当のこと言われると!俺音楽好きだからやってるだけだし」
「素敵だね、エイヴァルは」
「いやいや。そういえば、デリバード逃がしてよかったのかい?君に懐いてたみたいだけど」
エイヴァルは先ほどクロワが逃がしたデリバードが走って行った方向を見て尋ねた。
「うん、元々私のポケモンじゃないから自然に返すのが一番かな」
「……でも、真後ろに戻ってきてるんだよね。オマケついてさ」
間。
「デリバードなんで帰って……でかっ!!」
振り返ったクロワが見たのは得意そうにするデリバードと無言でクロワを見下ろすユキノオーだった。
「プレゼントってことかな……?やっぱり君と離れたくないみたいだね」
「あっという間にフルメンバーだよ……」
クロワもこれには苦笑せざるを得なかった。
「家に帰るんだ?コフキムシはどうするんだい」
「お母さんも心配させちゃったし博士に報告もしなきゃいけないし、連絡はコルニから来るし。まあ一度帰るだけ。旅はちょいちょいするつもりだよ。コフキムシの進化を諦めることは絶対しないし」
「君最高にロックだねー痺れるよ。一緒にバンドやりたいくらいだ」
「あはは……ん?」
ホロキャスターが着信した。
『やあ、クロワちゃん』
「!?」
「あ、レンゴクさん」
「え、クロワ。こいつも知ってるの?」
「え、エイヴァルも?」
レンゴクは二人の様子など気にも留めず、親しげに語りかけた。
『契約は破棄するよ』
「え、人探しは」
『フラダリが見つけてきちゃったよ。まああいつならやるかもとは思ったけれどね』
「フラダリってフラダリラボのフラダリさん?」
『違うよ』
レンゴクの顔から笑顔が消えた。
「フレア団のボスのフラダリさ」
【131222】