アンダンテ14


「フラダリ、最終兵器の準備は」
「順調だ」
「ザリストはどうするんだい」
「あれはもう用済みだ」
 予想通りの返答にレンゴクの唇が歪む。
「お前の理想とやらは本当に歪んでいるな」
「それについてくる君はどうなんだ」
「当然これ以上ない程歪んでいるさ」
 それきり会話は途切れるかと思われたが、意外にもレンゴクが言葉を続けた。
「僕のペロッパフの親を覚えているか」
「……」
「俺が彼女と一緒に崖から落ちそうになった時、お前は彼女を捨てて、俺だけを助けた。彼女は死んだ」
「ああしなけば二人共落ちていた」
「それが歪みだよ。お前は本当に腹の立つ奴だよ」
 今度こそ会話は途切れた。



「どうする?」
 フラダリの演説の後セキタイタウンに現れたその結晶のような『秘密兵器』に二人は思わず呆然と立ちつくす。先に持ち直したのはクロワだった。
「こ、壊さないと!」
「どうやって?」
「え、えーと……うーん……」
「やあ、ガキが増えてるじゃないか」
 馬鹿にしたような口調の言葉とこつこつ、と皮靴が地面を蹴る音が響いた。
 この声には聞き覚えがある。
「あんたっ!ジルコニア!?」
「うまい具合にレンゴクに踊らされたらしいな」
「な、何をっ」
「レンゴクを怪しんでるフレア団の連中はみんなお前らをこっそり監視してたんだよ。その分レンゴクが自由に動けた」
「利用されてたっていうの……」
「そして、僕はまんまとヒャッコクの日時計に力を貰えた訳だ」
 ジルコニアの片目が前より怪しくらんらんと輝いている。
「僕は昔の……3000年前の人間だ。どういう訳だか、AZと同じように永遠の命を約束されてしまった。全く、飽きるよねー」
 ジルコニアはモンスターボールを手に取る。
「プテラ!」
 翼竜を彷彿とさせるポケモンが飛び出し更にそれがみるみる間に光に包まれた。
「これ……メガシンカ……?なんで、何か特殊な道具が必要だってコルニが……」
「メガリングのことか?それなら簡単」
 姿を変えたプテラに目を丸くするジルコニアは薄く笑った。
「僕そのものがメガリングって感じになってるからねー。元々この片目はAZが起動させた兵器の影響を受けているんだ。あの光をモロに見てしまったから視力もないけどね。後は進化のエネルギーを溜める訳でよかった」
「そのせいで、みんなのポケモンは進化しなくなったの……?」
「退けよガキ共」
 ジルコニアはとても嬉しそうに言った。
「ようやく決着がつくんだ」


【131218】

うわまにさん宅ザリストさんお借りしました。