僕らの大都会闘争02
「いないなカルネ様」
「いないなー」
「……」
「……ねえ今日はもうやめようよ」
「おい田舎者!お前に大女優を見せてやろうっていう俺のはからいが分からんか」
「分からないよ……」
何処までもワンマンなアングルに溜息だけでは飽き足らず頭を抱えたくなったフェーナである。
「そーいえばさー」
クールベが向き合っていた二人の間に割って入る。
「この辺りでメイアちゃん、雑誌の表紙撮ってるらしいよ」
「メイア? 誰だそら」
「お前マジでカルネ以外に興味なしか」
「メイア……って何かの雑誌の読者モデルだよねぇ」
フェーナが尋ねるとそうそう、とクールベは頷く。アングルも合点がいった顔をした。
「あいつか」
「なんでもソウタツとかいう写真家が気に入って、事務所変えて写真集が出るんじゃないかって言われてるよ」
「へえ……有名になるかもしれないんだね」
「ある意味ミアレじゃとっくに有名人だけどな」
「……どゆこと?」
「田舎者には教えねー。クールベとばっか話してんじゃねーよ田舎者!」
クールベを押しやってアングルがフェーナに顔を近づけてくる。
「とにかくぅ! カルネ様を見かけていないのでメイアとやらを見に行くことは許可しません!!」
「なんで! 見に行きたいよ!」
「だめでーすカルネ様見つけてからでーす!」
「そんなあ! そもそも今日いるか分からないでしょ!?」
「とにかくだめー!」
どんっ
大げさに腕を開いたアングルの腕が傍を歩いていた誰かにぶつかった。その誰かは大きくよろけ尻もちをつく。
「あっすません」
「何やってるのさ……。大丈夫ですか?」
「……」
その少女は手を差し出したフェーナをきっと睨んだ。
「え?」
なんで俺?とフェーナが疑問符を飛ばす中少女は言い放った。
「この……痴漢」
「ち!?」
次の瞬間少女は立ちあがり走って行く。速い。あっという間に街に消えてしまった。
後に残されたのは爆笑するアングルと失笑するクールベとドラクロワと。
完全に固まってしまったフェーナだった。
「やばいっ痴漢っ! 思い出すだけで何時でも笑えるっ……!!」
「元はと言えばお前からの巻き込まれ事故だからな……」
「……あの人も極端」
「なあ。自意識過剰っていうか」
「てかもさっとした三つ編みだったなあ。友達いなさそー!」
「お前……それブーメランだぞ」
「んだとこらどういう意味だ」
突っかかってくるアングルを完全に無視して、クールベはフェーナの肩を叩く。
「まあ通り雨にでも当たったと思えよ。ミアレにはいろんな人がいるんでな」
フェーナ固まったまま呟いた。
「ミアレシティ怖いよぉ……」
「元気出せって」
「ぎゃはは!」
「……でも」
「ん、どうしたドラ」
少女の言った方を視線を向けたままにドラクロワは呟いた。
「なんか見たことある気がするんだよね……」
【140302】