消えない世界律01


「で、どういう人なんです? そのリウトって」
「ん」
「いい奴だよ。俺は嫌われてるけど」
「嫌われてるのにいい奴なんすか」
「相対的に見てな」
 嗚呼、イライラする。
 場所はハクダンシティのロゼリアの噴水前、二人の少年が話している。二人共金髪だが、微妙に質が違う。会話を聞いていると橙がかった金髪の持ち主の方が脱色したような金髪の少年の目上の人物らしい。
「ライオ先輩。メイスイに戻って、そいつとうまくやれるんすか」
「向こうは近寄ってこないだろうな。ていうか、そんなに会ったこともないリウトが気になるのか、アリマ」
 ライオと呼ばれた橙色がかった金髪の少年にアリマと呼ばれたもう一人の少年、ライオより背は高くお洒落なジャージを着こなした『モテそう』な雰囲気の持ち主だ。対するライオは若干硬派過ぎるようにも見受けられる。
「そりゃそっすよ〜先生からジム制覇に行けばって言われてるまでのホープトレーナーである先輩が故郷に帰っちゃう上幼なじみにいじめられるとあっちゃ〜」
「トレーナーズスクールに行ったのも気まぐれだったんだ。俺は家でポケモンとのんびりしてる方が似合ってるよ、そもそもいじめられてないから」
「そんなことないと思うけどな〜」
「食いつくな」
 アリマは少し考えるように顎に手を当てるとうーん、と唸った。
「先輩がいいならいいんすけどね」
「いいんだよ」
 嗚呼、嗚呼、イライラする。


「なー、テールナー」
「ル?」
「想いが届かないってかなしーねー」
「ルゥ」
 慰めるように膝を叩いてくるテールナーを見やり、アリマは息を吐く。
「俺の卒業が来年じゃなかったなら、ていうか、同級生なら無理やりジム巡りに連れて行ったのに。あー時間って残酷! こんなに、こんなに焦がれてるのに!」
 まるでアリマが恋でもしているかのような言いぐさである。
 いやしているのだ。
 それは誰か。
「ライオせんぱぁい……」
 同性であるライオ、にである。アリマに取って性差は問題でないのだ。それより問題なのは彼の性質にあった。
 欲しいものは絶対手に入れたい。子供じみた独占欲があるのだ。卵から産まれたフォッコの頃からアリマと一緒に育ち、トレーナーズスクールの門戸を叩いたテールナ―は知っている。
 それはとても危うい性質だということも彼は知っていたが、それを伝える言葉を生憎テールナ―は持たなかった。アリマに取ってポケモンはパートナーではあるが友人より少し位が下がるのだ。進言などできたところで聞く耳を持たないだろう。
「……」
 アリマは暫くぽけっと空を見上げていたが、やがて何かを重いついたかのように笑顔をその顔に張り付けた。
「いいこと考えた」
 テールナ―は不安そうにそれを見ていた。


【170103】