消えない世界律02
場所はメイスイタウン。
「リウト君、なんか機嫌よくない?」
「うっふふーわかる? 未来のホープに出会ってね。ヤヤコマをあげてきたんだ。あと十年経てばきっとあの子は美人になるぞー」
「もーリウト君はいつも女の子のこと考えてるんだからー」
「君たちだって僕のこといつも考えてくれてるでしょ?」
「リウト君も私のことだけ考えてくればいいんだけどね」
「あっ抜け駆けしないでよー」
「あたしもリウト君の一番になりたい!!」
「おいおい君たち、僕はみんなのものだろう?」
「そうだったねー!」
「……ふーん」
その会話を建物の陰で聞いていたアリマは無表情だった。
テールナーはそれを不安そうに見る。その視線に気づいているのかいないのか、アリマは緩慢な動作で、その男に向かって歩き出す。
アリマはあの後すぐハクダンの森を抜けて、メイスイタウンに向かっていた。街に入った途端女子三人をはべらせたセンター分けの男を見つけた。なんとなく話を聞いてみるとビンゴ、彼がアリマがメイスイに来た理由、リウトその人だった。そう、アリマはリウトに会ってみようと思ってここに来たのだ。
アリマは歩を進める。リウトと取り巻きの女子たちは近づいてくるアリマのことなど気にも留めない。距離が近づく。手を伸ばせば届く距離。
だから、アリマは手を伸ばした。
「いてっ!!」
彼の服の襟を引っ張って強引に体勢をぐらつかせる。そのまま引きずるように彼を地面に転がす
一瞬の出来事に取り巻きの少女たちは目を丸くし、襟を引っ張られたことで息が詰まったらしいリウトは咳き込みながらアリマを睨んだ。
「なにするんだよっ!!」
「なんでしょーね、リウト先輩」
「なんで僕の名前……」
「アリマです」
「アリマ?」
「そんでもってーぇモテモテのリウトさん」
アリマはテールナーを顎でしゃくった。
「ちょっとポケモンバトルしてくださいよ」
「なんでだよ。ていうかそれが人にものを頼む態度なの」
「然るべき人には然るべき態度取ってるんであんたが特殊なだけっす」
「どうやら僕を馬鹿にしているようだね……」
リウトは起き上がりながらプレミアボールを手に取る。
「いいよ。その代わり僕が勝ったら土下座してもらうからね」
「じゃあ俺が勝った時は俺に少し付き合ってくださいね」
「男相手に時間を使うなんて反吐が出るな」
こちらの台詞だ。お前なんかに先輩の時間は使わせない。
「1on1で。行けるなテールナー」
「ふぉん……」
「行けるよな?」
アリマの目が暗くなにを考えているかわからないことがテールナーは恐ろしかったが、元より好意は抱いているアリマのいうことに逆らえる筈はない。
「行け、テールナー」
「出ておいでよ。ヒヤップ」
接戦だった。タイプ相性の悪いアリマと、相手に一段階進化されているリウト。最後はテールナーのサイコキネシスが見事に刺さった。
「ちっ!」
「リウト君、負けちゃったの?」
「ちょっと……」
「がっかりかも〜」
瀕死のヒヤップをいらついたようにボールに戻すリウトに取り巻きの少女たちはにわかに態度を変えた。
「え、どうしたのみんな……」
「普段から僕は強いからってバトルしてくれなかったけど、普通に弱かったんだね……」
「水で炎に負けるとか」
「ごめん、今日はあたしたち帰るね」
「ちょっと……」
「じゃあ」
取り巻き、だった少女たちは去っていった。
アリマはテールナーにキズぐすりを使いながら笑う。
「砂上の楼閣っ言葉、知ってる?」
リウトは俯いて答えなかった。
【作成日不明】